第73話未来へ~自警団長side~
男爵の母親、シュゼット。
彼女は元々平民に近い感覚の持ち主だ。
掃除や料理も自分でこなせる。寧ろ、料理は上手いし掃除も喜んでするタイプだ。庭だってそうだ。いつの間にか庭園が家庭菜園に変わっていた。
キャベツ畑が出来ていた時は驚いたぜ。
それと気づかないうちに通いの使用人達は解雇されていた。解雇、というと言葉は悪いが女主人が自ら率先して働くので彼らの仕事がなくなる。見かねた役人が使用人達の仕事先を他の家々に紹介したそうだ。男爵家に仕えていた経験は紹介し易かった事もあったらしい。
「ぅ……ん……」
隣で眠る美女の吐息が漏れる。
声まで愛らしい。昨夜の激しい運動が堪えているようだな。
シュゼットの白い肩を露出させて毛布を掛けてやると彼女が俺の胸元に潜りこむ。肌寒いのか彼女は俺の温もりに安堵して、すやすやと安らかに眠っている。
彼女とこういう関係になったのは数週間前からだ。
男爵が居なくなって、屋敷に住んでいるのは俺とシュゼットだけの状態。男と女が二人、屋敷の一室に住んでいるのだから何もない訳がない。色々と進展も早くなる。これは自然の流れだろう。
それにしてもイイ女だ。
成人した子供がいるとは思えない美貌と、豊満な胸といい、男を虜にするスタイルだぜ。特にこの胸の大きさは俺専用と言っていい。俺の掌だと少しこぼれる程の柔らかさだ……おっと、また興奮をしてきたようだぜ。
貴族社会じゃあ、評判は悪いようだが俺からしたらそれはシュゼット自身の処世術だったんじゃないかと思う。
これだけの美貌だ。王様だってメロメロだった筈だぜ。その寵愛が薄れたっていうのはシュゼットが後宮での生活に不慣れで貴族社会に馴染めなかったからだと聞いてる。本人からもそう説明されて一時は納得したもんだ。
だがな、それだけじゃない気がする。
これは俺の勘だが、もしシュゼットが王様の寵愛を狙う野心を少しでも見せていたら?もし他の妃達のように貴族然とした行動ができていたら?貴族に混じって社交界に顔と名前を売れていれば?
果たしてシュゼットは後宮で無事に過ごせたとは思えねぇ。多分どっかの段階で失脚か、最悪死んでいただろうさ。
そう思えば『出来の悪い側妃』だからこそ、息子共々助かったともいえる。
王都を追放され、貴族社会から爪弾きされてはいるがな。考えてみりゃあ、それだけで済んだのもシュゼットに悪意はなかったと判断されたからだ。普通、そんな判断されねぇぜ?シュゼットも、この生活に満足してるみてえだしなぁ。
「ぅん……」
こんな美女を独占できているんだ。
俺も役得だぜ!さて、もう一戦するかな―――
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