第59話経済問題~ブリリアントside~
嘗ての祖国、アダマント王国は新王が即位してからは順調とは言い難い経済状況が続いています。まぁ、順調でないのは経済以外にも多々ありますが。
元婚約者のユリウス国王は相変わらずのようですね。
私と婚約していた頃から全く変わらない。
融通の利かない点で外交には殆ど関わらせてもらえない状況のようです。
内政は……随分厳しい局面と言ったところでしょうか?
外交官達がなりふり構わず必死に他国と交渉したおかげで多少は持ち直しているようですが……。国を維持できるギリギリのラインを何とか踏ん張っているといった感じですかね。
正直、今のアダマント王国の状況は良いとは口が裂けても言えませんね。
帝国で新しく商会を開き、ブリリアンカットを始め、画期的なデザインの宝飾品を大々的に売り出した事で、アダマント王国のダイヤモンドの価値は一気に下落し始めました。これは想定の範囲内でしたが、ここまで急激な変化が起きるとは思いませんでしたわ。
恐らく近いうちにアダマント王国のダイヤモンドは暴落するでしょう。
あの国にダイヤモンドに代わる産業は未だにない状態ですもの。
質の良いダイヤモンドなら他国と取引した方がずっと安い。アダマント王国に拘る必要などありません。
付加価値があるからこそ購入していた代物。
ユリウス国王は何処まで理解しているのかしら?
あの人のことだから全く理解していない可能性も十分にあり得るわね。
優秀と言われていたユリウス国王は、今では無能の烙印を押されていた。
勉強ができる愚者だと気付きつつあると言ったところかしら?
まぁ、アレではね。
人と接する態度、話し方。どこか傲慢さが滲み出ていましたもの。王侯貴族は大なり小なり『傲慢』だけれど、時と場合によって使い分けている。相手を立てるという行為を知らない彼なら致し方ないわね。
人の話を聞かないから、きっと大臣達の忠言も無視している事でしょう。
自分の役に立たない人間、もしくは嫌いな人間は悉く排除する傾向のある人だもの。使えないと判断すれば切り捨てているでしょうね。視野が狭いにも程がある。大臣達の苦労が目に浮かぶようだわ。
この分だと、私達に泣きついてくるのは時間の問題かしらね?
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