第4話
『特集!異能ランキング上位人の方に聞いてみた!』
『モテる女性の裏技!これを読めばあなたもモテモテに』
『女「性」の心理学~どうして欲に堕ちるのか~』
『異能全集・完全版~ランキング上位から下位までほとんど紹介!~』
『(
なにこれ、おれしらない。全部の雑誌を知ってるわけじゃないがコンビニに寄るくらいはするからちょっと目を通したりするけどこんなの知らない。
というのも、インターネットが欲しいとダメもとでねだってみたらパソコンを貸してくれた。
流石にある程度の閲覧制限はついていたが、とにかく週刊誌等の雑誌類において情報が載っているものをひたすら検索した。
するとどうだ、異能がさも当然というふうに存在しており、あまつさえニュース番組の一部として放送されていた剣闘士みたいなものも当たり前に存在していた。
はっきり言ってあり得ない。だからだからその他のことを調べた。
今の国勢、世論、政治家の名前、どの企業が市場に出回っているか、今の年号はどうか、事件は何が起きているのか、見回りに来た看護師(男)が見かねたのか取り上げられるくらい動かずただひたすらに調べた。
結論から言うと、俺からしてみればマジモンの異世界だった。
まず国勢から言わせてもらうと知らない国しかなかった。国の名前は眠っていた期間で変わっている場合があっても流石に自分の肉体の衰えがあまりなかったため長時間眠っていたわけではない。
肉体の衰えをなくすという異能があればいつまでも昏睡状態で健康でいられるかもしれないが、簡単に変わるはずがない。
文化もそうだ、例を挙げると極東の国なのに文化が俺の知っている南米のものであったり、俺の知っている極東文化が間違って伝わったようなものがあふれていたりする。
なんだよニンジャサムライって、一緒じゃないだろ別々だろカルフォルニアロールのほうが何万倍もマシなくらいだよ。露出の多いニンジャが刀振り回してるんだけど。短刀使えよ、あれ暗殺に便利だぞ。
国はおろか企業だって知らないものばかりで銃器を購入する際にお世話になったメーカーもなく全く知らないものになっている上にレーザーライフルとかいう危険度が異常なものまで市販ではないとはいえ存在はしていた。
そして、俺の知っている世界と決定的に違うのが……………ほとんどの分野で女性が上位に立っているということだ。
各国の総理大臣だの大統領だのは全員女性、調べた企業の社長会長も99%以上が女性、異能で戦う戦士たちも全員女性。
男が活躍しているのはグラビアや俳優くらいしか見かけず、ほとんどは家庭内で婿入りしてどこかの庇護下にいる状態だった。
……………間違いなく、文字通り世界が違う。こんなに世界が変わるなんてコールドスリープか並行世界へ飛んだくらいしか思いつかない。
『おっらあ!そのぜい肉さらしやがれやぁ!』
『お前こそ、そのまな板を全国に放映してやる!あ、平らな胸でしたかプークスクス』
『ぶっっっっっ殺す!!!』
常識的に考えて例の異能者同士の戦いで最終的に乳をさらけ出し醜態を見せて戦うテレビ放送をゴールデンタイムで放送するわけがない。流石に引いた。
となると、俺はいったいどうすればいいのか?
ここに入院して一か月も経っていないが身元不明で誰の庇護下にもいない、それだけでなく全身傷跡だらけで瀕死の状態で海に打ち上げられていた男という肩書を持つ訳なんだが。
あれ、これ相当まずい状況ではないか?と俺は訝しんだ。
『臨時ニュースです。さきほど人身売買グループの「
『警察組織が最近になってようやく本腰を入れ始めた捜査を行ったため、関与していた人数が相当な数になっており、ある一大企業に損害が出たという話もあり、現在も調査は続いています』
このままではどうなるか分からないが、脱走するにしても未だに情報が足りなさすぎる。
医師が来たら聞くしかない。
まさか、このような形で身の振り方を考えなければいけないとは思いもしなかった。
リハビリもなく、テレビを見ることしかやることがなくなったらふて寝するしかなかった。
不思議にものいつも頭に響く怨念じみた声は、いつの間にか聞こえなくなっていた。
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