Heavenでの聞き込み!
Heavenに連絡をしたところ、『今は営業外で誰も居ないので夕方ごろに来て欲しい』とのことなので、先ずは腹ごしらえを済ませることにする。
「今日は何にしようかなぁ」
ブラブラと飯屋を探している美和は、一軒の定食屋で足を止める。
「美味しそうな匂いがする。今日はここにしましょう」
ガラガラガラと戸を開けて中に入る。
「いらっしゃいませ」
中から店員の元気な声が響く。美和は、カウンター席に座る。店員が最初の1杯目の水を入れてメニュー表を持ってやってくる。
「お水とおしぼりはセルフとなっております。あちらからどうぞ。メニューはこちらです。メニューが決まりましたらこちらの呼び鈴を押してお呼びください」
「はい」
美和は、メニュー表に目を通し、一つの料理に目が惹かれた。呼び鈴を押して店員さんを呼ぶ。
「メニューは決まりましたか?」
「はい。鯖の塩焼き定食をお願いします」
「かしこまりました。今キャンペーンをしていまして、こちらのクジを引いていただき当たりが出たら店長オススメの一品をサービスさせて頂きます」
「へぇ〜そんなキャンペーンやってるんですね。でも入るかな」
「もちろんサービスの一品は、テイクアウトOKですよ」
「そうなんですね。じゃあこれで」
美和は手をクジの入った箱に突っ込み引いた。
「おめでとうございます。当たりです」
「ヤッター」
「持ち帰りで、よろしいでしょうか?」
「はい。お願いします」
「かしこまりました」
それから数分後、店員さんが料理を運んできた。
「鯖の塩焼き定食です。店長オススメの一品は、お帰りの際にお渡しさせていただきますね」
「はい、よろしくお願いします」
「それでは、ごゆっくりどうぞ」
店員さんはスタスタと戻って行った。
美和は「いただきます」と手を合わせると食べ始めた。
この鯖、肉厚でジューシー。身もホクホクしててすごく美味しい。味噌汁の程よい塩加減も疲れた身体に染み渡る。ゆっくりと味わいながら食べ30分ほどで完食した。
「ごちそうさまでした」
美和はそう言うと会計に向かう。
「鯖の塩焼き定食750円になります」
「1000円で」
「250円のお釣りとなります。そしてこちらが店長オススメの一品となっております。またのお越しをお待ちしております」
「すごく美味しかったです。ご馳走様でした」
美和は店員さんにそう告げると店を後にした。
少し早いがHeavenの近くに移動しておくことにしよう。しばらく待つと夕方になったので、Heavenに向かう。
店内は、キャバクラと聞いていたがどちらかというとクラブ寄りで、バックヤードで、ママのアケミさんが対応してくれた。
「やっと警察が動いてくれたのね」
アケミさんが開口一番に言い戸惑う美和。
「あのどういうことでしょうか?」
「鶴田というクズがテルミちゃんを殺したことについてじゃないの?」
「鶴田がテルミを殺した?」
「えぇ、テルミちゃんと胎に宿っていた赤子殺しね」
「詳しくお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「はぁ〜またこれ。警察って、どうして管轄が違うとわかりません的なの多いのかしら。全て共有すれば良いと思わない」
「申し訳ございません」
「まぁ良いわ。テルミちゃんはね。胎の子供の認知を鶴田にお願いしに行った帰り、階段から落ちて、今も意識が戻らずこの5年、久根総合病院で入院してるのよ。
「翔君?」
「えぇ、両親を事故で亡くしたテルミちゃんのたった1人の弟でね。テルミちゃんが夜の仕事をしていたのも翔君の学費のためなの。そんな彼女に金払いの良い客だったのが
「テルミさんが強姦されてしまったんですね?」
アケミさんは目を丸くする。
「誰からお聞きしたんですか?」
「鶴田という高校生から証言を得ました」
「やっぱり鶴田がテルミちゃんを許せない。あんな良い子をよくも必ず殺してやる」
「刑事の前で殺すと言ってはいけませんよ。今回は何も聞かなかったことにしますが」
「取り乱してしまい、すみません」
「いえ、性格には鶴田は、走田一がやったことの尻拭いをしたということらしいです」
「では、走田一と呼ばれる男がテルミちゃんを?」
「えぇ、テルミさんの胎の中にいた赤子に関しては、証言を聞く限り正しいかと」
「きっとそれだけじゃないわ。用心深いテルミちゃんが階段から足を踏み外すなんてありえない。きっと突き落としたのよ」
「その走田も亡くなりましたので、真実についてはわからなくなりましたが明らかにしたくて、テルミさんの周辺について調べているんです。翔君について教えてもらえますか?」
「走田が亡くなった?いい気味ね。バチが当たったのよ。成程、走田の事件を調べてて、テルミちゃんの周辺に犯人がいると思っている。その犯人が翔君だとそう言いたいんですね。何も話すことはありません。おかえりください」
「待ってください」
もう話すことはないとアケミさんは取り合ってくれない。そうして、追い出される美和。アケミさんは、勘の鋭い人だったらしく美和の言葉の端々から読み取ってしまったらしい。これ以上、アケミさんから聞くことは不可能に近い。途方に暮れる美和であった。
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