情報交換と新情報
Heavenを後にし、帰ろうと歩き出す美和に話しかける女性。
「ママを怒らせちゃった?」
「えぇ」
「はぁーさては、刑事さん地雷踏んじゃったのね」
「どうやらそうみたいです」
「良いわ。私が話してあげる」
「えっ?」
突然降って湧いた言葉に警戒する美和。
「そんなに警戒しないでよ」
「私、こういうものなの」
渡された名刺には、フリーライター
「記者さん?」
「えぇ、私はね。テルミが突き落とされた事件について調べてるの。私は親友のためにも真実がどうしても知りたい。そしてより多くの人にアイツらの悪事を明らかにして社会的制裁を与えてやりたいのよ。それが私が記者として、テルミにしてあげられる手向けだもの」
「そのための情報交換というわけですね」
「えぇ、どうかしら」
突破口のない今、どうしても話が聞きたい美和は悩んだがここは乗ることにした。
「わかりました」
「ありがと。じゃあ、宅飲みしながら語り合いましょう」
鈴宮は、美和を連れて、コンビニでビールを買い。加賀美警察署の近くにあるマンションの一室に連れ込んだ。
「かんぱ〜い」
「かんぱい」
「どしたどした美和ちゃんノリが悪いぞ〜」
とても馴れ馴れしく鈴宮が美和の首に手を回す。
「あの鈴宮さん、私は話をお聞きしたいだけで」
「楓ね。美和ちゃんが飲んでくれたらおねぇさん上機嫌でペラペラ話しちゃうかも〜知らないわよ」
「楓ねぇさん、飲ませていただきます」
美和は観念してここは鈴宮を上機嫌にさせることにした。
「良い飲みっぷりだね。ヨシヨシ。そんな美和ちゃんに翔くんについて、ヒントをあげよう」
美和は真剣な表情になりメモを取る準備をする。
「クスクス。翔くんは、久根高校に在籍しているバイクが好きな1年生だよ」
「まさかファウストのメンバーでは無いわよね?」
「ピンポーン」
「えっ?」
「当たりだよ」
「でもファウストのメンバーは、走田を入れて10人のはず。その全てには話を聞いたけどそれらしい人なんて」
「チッチッチ、美和ちゃんは、まだ確信に迫れてないんだなぁ。
悠斗ってまさか思い当たる名前を言ってみた。
「柴さん」
「ピンポーン。じゃあ、ファウストを誰が作ったかは?」
「神崎大和」
「ピンポーンと言いたいけど当たらずも遠からずね。ファウストは、神崎大和と山波宇宙と柴悠斗の3人で速いって言うfastって英語をもじってつけたチーム名なのよ」
「さすが記者ですね」
「あら、記者になる前から知っていたわ。だって、私もテルミも久根高校出身だもの。といってもテルミは、高校3年生の時に両親が交通事故で亡くなって、退学して夜の世界で働き翔くんを養う道を選んだけどね」
核心に近づいているのかも知れない。全ての事件は久根高校から始まっている?5年前の久根高校の在校生が神崎大和、山波宇宙、柴悠斗、鈴宮楓、テルミ。5年前の久根高校の事件は、神崎大和の失踪事件だけだと思っていたがテルミの両親の交通事故が警察も立憲できていないような轢き逃げ事件だったとしたら?ひょっとして、鶴田の息子が走田のパシリみたいなことをしていたのはひょっとして、鶴田の息子が無免許運転でテルミの両親を轢き逃げしたその現場をなんらかの形でそこにいた走田に見られていたとしたら。まさかそんなことってこれは都市伝説の首なしライダーを利用した壮大な復讐計画なのかも知れない。確認しなければならない鶴田の息子に。
「長い長考タイムは終わったかしら?」
「一つだけ教えてください」
「その前に私の知りたい内容について答えて。テルミの胎の中にいた子供を殺したのは鶴田啓一?」
美和は悩んだ後、情報交換と言ったのだ出せる情報の範囲で出すことにした。
「いえ、テルミさんの胎の中にいた子を殺したのは久根峠で首だけがない状態で見つかった被害者でもあり加害者でもあるファウストの走田一という久根高校の在校生で、鶴田啓一の息子に後始末をさせたそうです」
「鶴田啓一の息子?それって
神崎大和が亡くなっている?山波さんのことを呼び捨てにするぐらい親しい間柄?だが今は私の答えて欲しいことに答えてもらうことにした。
「楓さん。次は私の知りたかったことに答えてもらいます。テルミさんの本名を教えてください」
「
「待ってください。轟なんて名前、久根高校の在校生の名前にありません。本当に轟なんですか?」
「翔くんはね。照美が病院に入院してから鶴田啓一の援助を切られ、名を変えたそうなの。ごめんね。私もそこまでしか調べられなかった。ここ5年翔くんには、連絡が取れていないのよ」
「じゃあ、なぜ久根高校に在籍していると?」
「Heavenのママがね。嬉しそうに言ってたのよ。翔くんがテルミちゃんと同じ高校に入学したって」
「成程」
美和は、事件を整理する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます