第2話 隠したい
寝坊した。
目が腫れた。
可愛くない。
もう地獄。
だから。
だから、僕は隠すことにした。
「なにそれ、どした?」
歩夢は今日もかっこいい。
今日も一緒に通学出来るなんて仮病使わなくてよかった。
「イメチェンダヨ。ニアッテル?」
「うん、似合ってるけど浮いてるね。存在が」
「ウソヤダ、ドノヘン?」
「狐のお面」
「エ〜、イチバンノイメチェンポイントナンダケドォ」
うそ、ヤダ!
似合ってるって!
「そのお面、お祭りで買ったやつ?」
「え⁈うん!覚えててくれたの⁈」
「すごい可愛かったから」
スゴイカワイカッタカラ
スゴイ、カワイカッタカラ
スゴイ、カワイカッタ、カラ
んー!顔がにやける
嬉しい嬉しいめちゃ嬉しい!
ハピネス!ハピネス!
今日いい日!
「何でお面つけてるの?」
「目が腫れちゃったの…歩夢にみら、れ、たくぅぅぅ…」
言い終わる前にバッと顔を下げる。
僕はアホなのかもしれない。
なんかそんなことで?みたいな視線を感じる。
常にかわいい僕がいい。
恋する乙女には大事件なの‼︎
「そっかぁ」
「・・・」
歩夢の言葉に冷や汗が出る。
嫌な感じ。
いつも通りの、歩夢の自然な、嫌な感じ!
「見せてよ」
歩夢はいい笑顔で言い放つ。
「なんで⁈歩夢にだけは見られたく無いんだけど‼︎」
「俺だけ見せてくれないわけ?」
「えっ?え、えとなんか違う」
なんか歩夢カッコいい。
「俺以外には見られてもいいんでしょ?」
「うん」
ガッッッ
「ちょっちょ…なに⁈なんなの⁈」
「いやおかしいじゃん。俺だけ見ていいならいいけど、俺だけダメなのはダメだよ」
歩夢がすごい力で狐のお面を剥ぎ取ろうとしてくる。
悪魔かもしれない。
どうしよう。どうしよう。
明日も腫れたままかもしれない。
また涙が出てくる。
喉が熱くなって狭くなって声が掠れる。
「やめてよぅ…」
なんでか、歩夢の手がお面から離れて、一言も話さず一緒に登校した。
なんかよくわかんないけど、見られなくてすんだ。
歩夢の様子がおかしいのが気がかりだけど。
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