好きなんだよって話です

灰雪あられ

第1話 好きな子がフラれた

泣いてる。

好きな子がフラれて泣いてる。


「なぁ、ほら、死ぬわけじゃないしさ…」


涙にはどんな励ましも効かなかった。


「だって…あ゛んな゛思わぜぶりなごとじどいでぇ!」

「いや勝手にそう思ってただけだし…」

「あ゛いづぎらい〜!」


ベシッと頭を叩かれた。


「ゔうぅ〜」


歩夢は切なげに言った。


「あのなぁ、俺の前でそーゆーこと言うの禁止。フラれたけどまだ好きなんだよ」

「ああ゛ぁ〜僕の方がお前のごどずぎなのに〜!」

「そりゃ…どうも……」


歩夢は少し気恥ずかしそうに顔を背けた。

いつもはもっと照れるのに、少しで済むことがトゲとなり心に刺さる。

泣き声だけが聞こえるようになって、居心地の悪い空気になった。


「ああ!もう!千隼が泣く前に俺を慰めてくれよ」

「あ゛いづ埋めでぐる〜」

「違う。そうじゃない。」

「あ゛ぁ〜」


結局、僕は泣きまくり歩夢が慰め続け、フラれた歩夢に家まで送ってもらうという、訳の分からないことになった。


歩夢は好きな人が出来るとすぐ告白する。

そして、付き合うにしても必ずフラれる。

今回は初めからフラれてたから珍しい方。

いい加減告白なんて諦めればいいのに。

僕がこんなに好きって言っても伝わらないし、アピールしても胸キュンなんかしてくれないのに。

なんであんな誰にでも愛想振ってるような奴に引っ掛かるかな。

「あーもー!」


…まだ好きって言ってたし。

今日もまた失恋だよ。

枕に顔をうずめて泣くうちに、いつのまにか眠っていた。

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