第25話 ユニークスキル
アークアが貴族って事は――
「という事は、クリフさんも貴族なんですか?」
「いや、僕は違うよ。パルマン家に仕える家の人間でね。アークア様の従者だと思ってくれ」
どうやら彼は違った様だ。
そういやさっき、アクーアに敬語使ってたな。
彼。
つまりエブスの後ろにいた取り巻ポジって事か。
まあアイツらよりよっぽど常識を弁えてそうなので、一緒にするのは流石に失礼な気もするが。
「クラスはハイプリーストさ」
クリフは神官っぽい見た目通り、ヒーラーの様だ。
「二人はダンジョン探索時に、いつも俺達が組んでる相手です」
「私達がいくら優秀とは言え、騎士二人でダンジョン探索は無茶がありますからね」
「成程」
魔法を使える人間、特に回復系の魔法を使える奴がいるといないとでは大きく変わって来るのは明白だ。
冷静に考えれば、ダンジョンに騎士だけで突っ込む訳ないよな。
「学生同士でダンジョンに行ってるんだな」
「ダンジョンに入れる資格が両学園か、国に所属してる人間だけですから。必然的に学生同士が組んで行く事になるんですよ」
「ああ、資格の都合上そうなるのか」
王都にあるダンジョンは限られた者にしか門戸が開かれていない。
学園の生徒が王家仕えの騎士や魔法使いなんかを誘える訳もないので、学生同士になるのは自然な流れと言えるだろう。
「学生は普通、10人ぐらいでパーティーを組むのが常識なんですけど。私達は4人でダンジョンに潜ってるんですよ。優秀ですから」
ベニイモが自慢気に胸を張る。
まあ確かに少数で狩れるのは優秀な証だとは思うが……
「少数ってのはその分危険って事だろ?あんま無茶するなよ」
人数が少ないと、いざ何かあった時のカバーが効かなくなる物だ。
人手の大切さは前世で嫌という程思い知らされているからな。
頭数は重要だ。
いあやまあ、前世の俺に不足分をカバー出来るだけの能力が無かっただけって言われればそれまでの話だが……
「心配ないわ。うちのクリフは危機管理の出来るユニークスキル持ちだから、危ない状況に陥る心配はないのよ」
「ユニークスキル?」
「極稀に個人が生まれ持って来る、その人だけの固有スキルよ」
「へぇ、そんなスキルがあるんですね」
神様の説明には無かった物で、初耳だ。
「本当に極稀に手に入る能力見たいですから、師匠が知らないのも無理有りませんね。私達も、アークア達とパーティーを組む様になってから知った事ですから」
「驚いてるみたいだけど、本当は貴方も持ってるんじゃないの?ユニークスキル」
興味深げにアークアが俺を見る。
まあこの歳で、しかも市民なのにイモ兄妹に師匠呼ばわりされてる訳だからな。
ユニークスキルを持ってるんじゃないかと考えるのも無理ない。
まあそもそも俺は市民じゃないだけなんだけどな……
「ああ、そっか!じゃあ師匠もクリフと同じなんですね!」
「言われてみれば確かに……それなら師匠の強さも納得出来る」
ベニイモとタロイモが、アークアのその言葉に納得する。
それを見て思う。
俺の強さの秘密を、ユニークスキルって事にするのはありかもしれない。
と。
世界にただ一つ。
勇者すら超える、神話級のクラスであるスキルマスターを周囲にばらすのは絶対不味い事だ。
何かと面倒な問題が起きるに決まってるからな。
だが現状、ソアラのせいで出鱈目な天才と一部の人間に思われてしまっている。
流石にそこからクラスの事に辿り着く奴はいないだろうとは思うが、万一と言う事もある。
そう考えると、無難な答えを与えておくと言うのは悪くない考えだ。
何にもないのに今の強さは、俺自身流石に無理があるかなって思ってはいたからな。
「バレてしまったか。まあでも他の人間には内緒だぞ」
「やっぱり!それでどんなスキルなんですか、師匠!」
「それはまあ……秘密だ」
何のスキルかは勿体付ける感じで伏せておく。
何故なら、パッといい物が思いつかなかったからだ。
まあ下手に思い付きでスキルを決めると、後々自分の首を絞めかねないからな。
どういった物にするかは、じっくり考えて決める事にしよう
「えぇー、教えてくださいよ」
「そうだな……ベニイモが俺から一本取れたら教えてやるよ。頑張れ」
と、無茶ぶりしておく。
これなら相当時間が稼げる事だろう。
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