第14話 寮の鍵


 グレン団長に付いて食堂を出た。

どうでもいいけど団員に脚を見られる。


 団長直々に書類って騎士団には庶務課ないのだろうか?新人団員は2階の食堂を使うのが一般的でその他は1階の食堂を使ってるらしい。どうりでロイヤルブルーの制服姿の団員見なかったわけだ。新人は王都住まいでも例外なく寮住まいらしいし。

 あれから施設の見学に食堂に来てトレバスの顔見知りの班の人と話しを始めて夕食の時間になってそのまま数時間経過してしまったことを説明しといた。

「物珍しく思われて大変でしょうからマーカスに食材を用意させるので当面部屋で夕食摂って下さい。」

「わかりましたお気遣いありがとうございます」と言ってにっこり微笑んどく。

 そういえばいつもにこやかなくグレン団長なのにさっきは怜悧な表情だったな、あれが騎士団長の顔なんだろう。存在で喧騒を黙らせるってすごいな。

 今の優しさ滲み出てるにこやかさもいいし怜悧な表情も良かったわ。イケメン正義だ!眼福ご馳走さま!もうすぐ生まれる赤ちゃんきっと生まれたてでも美形なんだろうな。


 などと施設の説明されながら夢想してる間に寮の部屋に着いた。あれ?執務室でないの?「書類は明日でいいです、ではまた明日」と帰って行かれた。


 これからあの馬車で家に帰り、美しい身重の妻に出迎えられるのね。宮廷絵巻みたいなんだろうね侍女になりたいわ。

 とりあえずお風呂入ろうバスタブにお湯を張って教会で作ったけど小さな子どもたちと入浴してたので使えなかったバラの花びら入り乳白色の入浴剤を入れた。極楽だ、前の世界の国の習慣でお風呂は毎日ひとりで湯船に浸かりたい。

 そんな時ノックの音がした、あっ部屋の鍵かけてない!

 教会の部屋にはそもそも鍵なかったし忘れてたわ、怠惰な習慣はすぐ慣れるのよね。誰だろう?「私です、やはり騎士団規則と宣誓書だけ渡しておこうと思いまして」安心安全なグレン団長だった。

「どうぞ!すいません手が離せなくて!鍵かけ忘れてまして書類は机に置いといてくださぁい」

「部屋には忘れず鍵はかけましょまうね」っと言いながら団長が入ってくる音がした。

私はシャワーカーテンでしか仕切られてないバスタブから少しカーテンの隙間を開けて顔半分出して「すみません」って謝っておいた。ちょっとびっくりした顔されて凝視された。

大丈夫よね?乳白色だしそもそもお湯まで見えてないだろう、バスタブに短時間でお湯を魔法で温めたから不思議がられてるのかな?王国は水は豊富だけど温浴施設はそこまで機能的でなくて魔道具でもお湯はそこそこ時間がかかる。

 グレン団長はハッと出入りのドアに向き直って「部屋の前で待ってますから上がって身支度整えてからでいいですから入浴中に鍵かけてないとかダメですから」からから言って部屋を出て行った。

 騎士団長待たせるとかないだろ!髪も身体も洗ってあったし急いで支度した。

寝間着では失礼だろうと部屋着を着て部屋を出る「教会では個室にそもそも鍵もなくて小さい子が夜泣きして入ってきたりで忘れていました気をつけます」と平謝りしといた。


 とは言っても!「手が離せないときに待たせたり出直してもらうのも失礼ですからロック解除の魔法かけておきますね、手のひらをドアにあててください」グレン団長はちょっと茫然とした表情ながらも手のひらドアにあててくれた。

 私も手をあててドアに魔法で2人分のロック解除の登録した「これで鍵がかかっていても手のひらあてるとロック解除できます。書類とか置いておいてください、王宮の敷地はロック解除の魔法は使えないようなんですが、あらかじめ設定すればロック解除できるようです」これで私も鍵を持ち歩かなくとも出入りできる。お礼の言葉も言って部屋に戻った。

 グレン団長から言葉が何も返ってこなかったなと部屋に入って気がついた。待たせたし表情に出さず怒っていたかもな。

 美しい妻の待ってる安心安全なグレン団長は恵まれすぎてる人だし気にするのはやめようと思った。

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