第13話 制服と食堂


 騎士団の制服一式が既に寮内に置いてあって、明日から着用してくださいととこのとだった。

「荷物の片付けなどお有りでしょうから今日はここまででいいですよ、明日は制服着用してまた私の執務室に来てください」と言ってグレン団長はお帰りになられた。

 まだだいぶ早い時間に終われたのはラッキーだ、部屋に少ない荷物を収納して制服を着てみる、ピッタリすぎて怖い。サイズ表は学園の制服の時採寸したデータ流用されたのだろう。


 女子だからといってファンタジーによくあるミニスカではなくストレッチに富んだボトムスで王国では女性は脚を晒さないのでピッタリしたラインは少し恥ずかしく感じる。私も王国風に感化されてきてるな。

 前に住んでいたトレバスはミニスカもビキニもあったな〜寒い気候だからほんの数日の夏日にこぞって川沿いや水辺で水着になるのだ、もはや懐かしい。


 シルバーグレーのボトムスに白いシャツにロイヤルブルーに赤のラインが入った上着はさっき見た男子と一緒だけど女子はリボンタイが付いてる、フレッシュ感が溢れるデザインだ。


 大方の日用品は備え付けてあったので特に用意するものや足りないものはなかったので食堂やあって欲しい図書館など見て回ろうと思った。このまま制服を着て行こう、学園の制服は目立つし、今日が着納めだったな。


 食堂は3階建てで3階が幹部専用で1階と2階が一般団員用でとても広いホール状になっている、壁沿いにはいくつか個室のミーティングルームがあった。

 時間がまだ早いので厨房では仕込みやら片付けなどで人がいたけどホールは誰もいなかった。奥まで行って窓から見える棟で現在地を整理して食堂を出ようとした時前のミーティングルームから何人か出てきた。

 人数的に見て少ないので隊でなく班でミーティングしてたのだろう。見慣れない新人がいたので注目されたようだ、止まって会釈して先に出で行ってもらうことにした。

 そんな中に新人の制服着た何となく見知った顔の1人を見つめてしまった「ロゼロジャ?」その知ってるような緑髪の団員から言われた。


 どこで会った人だっけ?


てかロゼロジャって何さ?誰からも呼ばれたことない。

「俺だ!カールだトレバスの第1中学で同学年の!」

 あぁ知ってる。一度も話ししたことないしクラスも違うけど居たわ、緑髪。こんなところでトレバス生存民に会うなんて!

 思ったことそのまま「こんなところでトレバス生存民に会うなんて!」

「俺も!ロゼロジャ新人団員の試験に居なかったし、入団の時も居なかったよな?」

「今日からなの」王国に来ていつも丁寧語で話していたけどなぜかカールには友人のような口調になってしまった。

「今日から?!まーよろしくな」先輩たちを待たせていると気がついたらしく、言葉を纏めてカールは去ろうとしたけど「いいぞ!積もる話があるだろうしここで解散だ。」

って班長らしき人に言われて他の先輩方は去って行った。


 ってことはなく班長さんに肩を掴まれ食堂の椅子に座らせられて班員全員から質問攻めにあった。

ロゼロジャでない本名から今住んでるところ、トレバスでカールとの関係に彼氏がどうのとか休日の過ごし方など好きな食べ物や花まで。


 怖い。なんだろう?


 まさか諜報部員だとでも思われているのだろうか?もしそうだったとしても伝える国の組織はないのだ。

 聞かれているだけではなんなので、図書館はあるのかとか休日おススメお出かけスポットなど聞いたり人気の食べ物などもこちらから質問攻め返ししといた。一緒行こうだとかこれから食べに行こうなどと言われてフレンドリー過ぎて騎士団は人気で信頼されてるけど中はもっと厳しくて怖いのかと思っていたので安心した。目一杯愛想よくしといた。


 今思い出しだけどクラスメイトと週末の湖もうは行けそうにないな。



 魔法学園に通っていたことや教会に住んでたことなどをかいつまんで話し滑落しながら山から落ちてきた話もしといた。

 こちらでもマック隊長が隠していやがったって話になってしまった。魔法を人に見られると治安警察に捕まると思っていたと言っといた。


 しかし治安警察は王国にないらしい。


「トレバスにもないですよ」とカールは先輩に焦りながら説明していた。

 こちらからもいろいろ聞いたのでもう夕食の時間になってしまったらしくドヤドヤと賑やかなな食堂になってきた。

 いつのまにか目の前に食堂の定食が運ばれてデザートにフルーツまで付けられてた。入ってくる人にかなり話しかけられた、名前とよろしくお願いしますとだけ伝えて後は私の話し聞いてた人が説明してくれてた。流石軍隊じゃなかった騎士団!情報と連絡がよくできてる。

 マック隊長は三階で食事を摂るのだろう。班長さんクラスはここみたいだ、同じテーブルにいたカールの姿はもうなくて制服にバッチが複数ついてる人だけになってた!序列の権力をひしひしと感じた。

 なんかもう1人で接待しないといけないみたいな高級クラブだ『ママ〜ヘルプ何人か呼んでください!』と声を張りたい。


「いい匂いすると思ったら女か」とか言ってまた1人増えた。トレバスは民主主義だったので失礼あったらごめんなさいって言う体を宣言して話しをしたり聞いたりしてかなり食べた。

 いつの間にか食料が補充されてて冷めないうちに食べてって促されてかなり食べてしまった。なんだここ?

 班長さんたちの勧誘もすごかった。班のアピールしてると他の班から横槍で貶されて武勇伝みたいな話で盛り上がってこちらもホステス張りのリアクションして聞いていた。

 最初が肝心よね、班長さんクラスは妻帯者っぽい人多数で休みに湖行こうとかご飯の誘いが減ったので安心感あるからさらに愛想よくしといた。


 しばらくしてな食堂のガヤガヤした喧騒がふっと火を消したように静かになった。何事?と原因探してキョロキョロ辺りを見回す、班長さんたちは緊張した面持ちになってる!

 静まりかえってる中で聞くわけにもいかず探ってると、多分元凶と思われる人物が歩いてこちら方面に向かってきた。こちら方面というのは希望だ、こんな静かな中で私に用があると思われたくない、素通りしてほしい。

 その元凶のグレン団長は私の座ってるテーブルで止まった。とりあえず立ち上がって夕刻の挨拶をした。

「こちらにいらしたんですね、署名していただかないといけない書類があります執務室まで来ていただけませんか」はい、いただきます!


 手を合掌して返事してしまいたくなる衝動を抑え「うかがわせていただきます」いただきます返しだ!

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