第12話 壱番隊


 お昼を終えて午後から訓練場へマック隊長の壱番隊の見学に行った。壱というのは強さの序列でなく形式的な順番的なもので前任者が使ってた番号らしく壱番隊と言うより通称『マック隊』らしい。

 隊長副隊長以下は何班かの班があって班長さんがいる。班は別働で討伐に参加したり王都巡回などがあるらしくマック隊の全体の人数は訓練場に居る人数よりもっと多いらしい。


 皆もう準備していて剣の稽古が始まるらしい。新人団員は下はシルバーグレイで上はロイヤルブルーに襟元に赤くラインの入った服でわかりやすい。

10人くらい居て、順番に隊を体験訓練していくらしい。


 マック隊長にほらって剣を投げられた。練習用の剣だからスパッと切れることはないだろうけど刃を触らないように慌てて受け取った。「よしかかって来い」いきなりか!


 学園の制服なんだけどな?


 身体強化何倍すればマック隊長と渡り合えるのかな?考えてるうちにマック隊長が斬りかかってきた!


 おいおいおいイタイケなロゼットちゃんに斬りかかるのかよー!


 とりあえず強さ・速さ・のバフをかけて剣を受ける。手加減されてるのはわかるけど、ガツンと骨に来る!男の筋力すごいなぁでも負けたくないので更に強化してマック隊長に斬り込んでいく!

 カキンキンキンカキンキンキン早業でいなしていくのにマック隊長もくらいついてくる。体力が持たなくなってくるので体力回復魔法も同時にかけながら私はもっとギアを上げて袈裟斬りに渾身の力で、もちろん身体強化の力で振り下ろした!


 5メートルくらい吹っ飛ばしてしまった!そんなことより「痛、痛いっ痛いっ痛いっ!!」手のひらの皮が何箇所か剥けて血が出てしまっていた。

 こっちも痛いんだよって上手に受身とってたマック隊長が起き上がって文句言ってる。絶対そんなに痛くないよね衝撃上手く地面に流して背中の丸め方なんかも職人技だったよ!


 もちろん私たちは隊の注目の的で皆の目線全ていただいていた。

「と言うことで中途の新人騎士団員ロゼットだ。魔法学園で悪さをして騎士団に飛ばされてきた。普通の嬢ちゃんに見えるが魔性の女だ!気をつけろよみんな!」


「「「はいっ!」」」


 おいおいおい納得するなよマック隊隊員の皆様っ!

「ロゼットです。皆さんよろしくお願いします、悪さしてませんし魔性でもないですし、身体強化魔法使えるのでたぶん魔法剣士?魔法騎士?だと思います。こらからご指導ご鞭撻よろしくお願いします。」ペコリ。


 ところで魔法剣士とかあるの?極めたらバトルマスターやスーパースターとかになれるのかな?




 午後はそのままマック隊の鍛錬に参加した、学園の制服なのに!

 寝そべった筋トレなどは出来ないので要所要所で参加した。手のひらの傷は痛いので剣も振りたくないのだけど組み合いたい希望者多くて面倒なので最初からMAXで蹴散らした。

 簡単な治癒魔法を施したいけど教会で回復魔法と治癒魔法が使えたら問答無用で聖女様扱いになって王城入りらしいと聞いていたのでこっそりと体力回復魔法だけにとどめておいた。


 ここで情報を整理しとく。

セレアシャトン連合王国の魔法は大体10歳以降に顕現され14歳までがリミットで大人になってから新たに使えるようになったりはしない。自覚はなくても測定器でわかり学園で教育してもらえる。

 他に治療魔法系に特化した聖女様がいて彼女たちは幼少期から聖魔法の治療系の魔法が使える。王城に招かれて手厚く保護されて暮らせるそうだ。魔物討伐に救護班として同行もあるみたい。私は他のエレメントの魔法も使えるから聖女の規格に合わないし生活面保証されるのはいいけど自由もなくなりそうだよね?

 他に稀代の魔法使いもまた幼少期から魔法が使えるらしい。



 まだあと午後も半分のところで「ここまでだなグレンのとこに帰ってくれ、午後半分は座学らしいからな寝るなよ」隊のみなさんからええ〜っと抗議の声が聞こえた。皆ノリがいいな、笑顔で手を振って帰らせてもらった。


 グレン団長の執務室に着くとグレン団長からマックを斬り飛ばしたそうですね!っと笑顔で迎えられた。情報早すぎない?さっきですよ!

 スルッとマーカスさんから救急箱を差し入れられグレン団長から消毒と包帯を丁寧に素早く巻かれて手当てされた。この傷の情報まで伝わってるのかっ。

 近くで触れられて、この人にはやっぱり勝てない!底しれない強さを感じる。手当のお礼の言葉と「団長は斬り飛ばせないですね」って言っといた。

ははって爽やかに笑われて「今日から入寮していただきますね。」って更にサラッと爽やかに言われた。


 「荷物は教会から届いています、纏めてられてたそうですが寮に入ることわかってたのですね?」


 などと言われて冷や汗がでる。逃走用ですよそれ。気持ちの整理の為掃除して荷物纏めてただけなんですよ。ってそれっぽいこと言っといた。


 そして、この執務室は2階なんだけどそこから階段で1階に降りて短い濡れない廊下を渡ってまた階段を上り、2階に上がってすぐの部屋に案内された。要するに隣の棟だ。


 中は広いワンルームで壁沿いにキッチンと水回り、反対側にクローゼットとベッドがあり、ダイニングテーブルと中央に応接セットまである。こんなに待遇いいのね騎士団。今まで生活してきた中で1番広い部屋だ。


「実は女子寮が埋まっていて、4部屋あって8人入れるのですが新人の1人が白竜使いで2人部屋を竜と使っているので空いてないのです」


 竜使いの女子とかすごーい。断然お友達になりたい!

「その白竜の部屋に住みたいです」

「白竜は身体の大きさをある程度変えられますが本来の大きさが楽だと言うことでかなり大きいので住めませんね」残念ですと返しておいた。

 今年は男女全く差別のない入団試験に女子が3人受かったらしい、白竜使いの他に2人女子がいて異例だったそうだ。


 そんな訳で現在空いている要人の家令の長期滞在用のお部屋をあてがってもらえた。

 騎士団の食堂とかは遠くなるけど現在通わないといけない執務室は近いのでオッケーだ。

調理もできるのは嬉しい!気晴らしに料理したいし、お菓子も作りたい、本来の寮は共同の炊事場しかないらしいのでラッキーだ。

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