第8話 馬車でお迎え②
騎士団長さんにエスコートされ素敵な馬車に乗る。
あ、うん、クララおばさまが言ってた通り意匠も施された素敵なお貴族様の馬車だ。
「騎士団長様の馬車ですか?ど平民が乗っても大丈夫なんですか?」
「様はいりませんよ団長で敬称ですからね馬車はランカスター家のですが通り道みたいなものですから気にしないでください」 ど平民はスルーされたようだ。
「それでは団長閣下とお呼びしてもいいですか?」閣下呼びはいつか誰かに呼びたかった敬称である。
「………騎士団長でいいんですよ、騎士団に所属となれば団長で構いません」そうなのか!キッシキッシ団長キッシ団長〜と心の内で唱えた。
乗り合い馬車ですらたまにしか乗らないけれど、この馬車が高級品だということはわかる、内装は豪華にしすぎない優雅さでセンスがありすぎる。サスペンションが良すぎるのか座席がエアーなんちゃらなのか揺れない。
この世界の馬車は好きでなかったけど別世界だ。
キョロキョロしないようにゆったりと車窓を眺めることにしたけどやはり気になるので今日の予定を聞こうと騎士団長と目線を合わせた時ふと不思議な雰囲気に包まれる。
そんなに遠くない未来で今日のことをお互いに語り合うということになるのだと。その時は2人は仲が良いのだ。願望なのだろうか?怖いな。
ありえない、騎士団長には妖精のような妻とかわいい盛りの娘じゃなかった、もうすぐ生まれそうな子供がいるのに。
そっちじゃなくて部下として心酔して懐刀の特攻隊みたいな役職につくのだろうか?
変な顔してたのかどうかしましたか?って問われ今日のことが心配だとすり替えておいた。
プライベートなことは聞くのはやめよう。家柄も顔もいい人はいろいろ聞かれたら警戒するだろうしね今日が終わればほぼ会うことがないのだし。白皙の貴公子のような人と同乗することなどもうないだろうから人生の記念日だわね。
急に騎士団長から聞かれた「もしかしてロゼットさん私の名前を知らないんですか?」えっあっこれ騎士団長といえば有名人だろうから知らないとやばいやつ?
知ったかかまそうか?いや無理!知らん。
「馬車がランカスター家とおっしゃってましたからランカスター卿なのはわかりました」さっき馬車の紹介で言ってたよね?名前も昨日マック隊長が言ってたね?えっと、グレンさんだっけ?
「そうですか、知っていると思ってマックからなにも説明なかったんですね」逃走するなよと貴族には気をつけろと言われました!なんて今言わない方がいいのはわかる。
「すみません、マック隊長は仕事の話はしないので」公安勤めかよっ!どっかの組織に潜入調査してるの?ってくらい仕事の話はしないのだスライム退治の話とか聞きたいのに!
「グレンです、グレン・ランカスターです。騎士団ではミドルネームは省略してますし家名のない騎士もいますから皆名前で呼びますね」そっかマック隊長も家名がなくてマックだけだ。
それにグレン・ランカスターってやっぱどっかで聞いた気もする、きっと有名人だ!
騎士団長なんだから当たり前か!上げ記事ばかりで読むとこないから焚き付けに使ってるセレアシャトン新聞の見出しに出ていて名前を見たかも知れない。
胸に手を当て「一生忘れません!魂に刻み込んでおきます」無礼の詫びにこれくらい言っとかないと。
「光栄です」こんな偉い人にお世辞でも光栄なんて言ってもらえたよ、湖に行くときクラスの貴族に自慢してやろう。
当たり障りないであろうから湖に行ったりするのか話を聞いてみたけど別荘があるそうだ、平民とは別の世界線の話だった。
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