第7話 馬車でお迎え
教会に併設された孤児院で慌ただしく朝食の支度をする。
マック隊長は騎士団の食堂で朝食を摂るし朝の鍛錬もあるのかもう居ない。
あれからマック隊長には大丈夫だから夜逃げするなよって言われた、見抜かれてた。マック隊長が言うなら信じよう!なんとなく処刑はなさそうだし逃げようと思えばきっといつでも逃げられるし。
だけどマック隊長が昨日騎士団に連れてくって言ってたのに居ないと言うことは…逃げてもいいと言うことか?
騎士団の入り口わかりませんでしたってことにもできそうだな!とりあえず終わってから学園に行けるように制服着ていこう。
調理器具に魔法をかけて平行で調理をアシストする。
ある程度の年齢以上は配膳まではしないけれどマリーは食卓で待っている。もちろんテーブルサービスまでしないのだけれども以前盛り付けたとき好き嫌いの文句が多くて辟易してしまった。
「昨日あんなに遅くなったんだからさっさと運んでよね」
何様だよ、マリー様かよ!マリーは同い年で今は商店でバイトをしている。飽き性なのか店主に愛想をつかされるのか仕事は長続きしない。
私はマック隊長から『ロゼットは世間知らずだからもう少し外で働くのやめとけ』って言われて教会と孤児院のお手伝いをしている。
王国は封建社会のせいか魔物が出ると言っても魔物図鑑は売ってないしあらゆる所で情報統制されてる感があって調べる事すら出来ない、情報化社会で生きてきた者にはもどかしい国だ。トレバス国はここよりはマシだったかな。余暇はネットもスマホもない分は魔法の鍛錬に使えるのはいいけど自習だからオリジナリティに溢れてしまう。
しかし!元の世界の世間を知ってる私は内緒で貴族のお茶会の給仕の臨時バイトをしているのだ。
だがしかし!不本意だけどその貴族の臨時バイトは次がない。
2日連続の契約だと明日はもういいと言われる。初日に水色の髪が珍しいのか人が集まってしまって給仕ができなかった。次の邸宅で魔法で髪色と瞳の色を変えても人の層が若干変わるだけで効果なかった。
自己分析だけどトレバス育ちの何かか、その前の世界育ちの何かが外見や態度に滲み出でいて王国では物珍しく見えるのかもしれない。だからといって見た目を偽って別人に見えるような魔法はまだ使えない、この分野は鍛錬あるのみだ。
だから今はもう初回荒らしの心境でバイトしてる。
人の事は言えんな。
マリーは所謂イキりヤンキータイプなので人種が違うし理解も和解も融合も一生できないであろう。
「昨夜遅くなったのはロゼットのせいではないのじゃよ」
牧師さまは控えめに言って神だ!〜じゃよとかいう人初めて会ったけど。
マリーのことは軽く聞き流してちびっ子に気を配る、食事のマナーはそこそこできてないと養子に貰われた時に印象悪くなる。
良い人に貰われて行ってね、マリー様みたいにならないでね、密かに祈っていると門番ボランティアのクララおばさまが慌てて入ってきた。門番ボランティアとは地域の方の教会ボランティアだ。交代で門番的な受付や清掃や牧師さまや孤児院の子供たちでは手が回らないところを担ってくれてる、子育て、孫育て終わった年配のおじさまおばさまたちである。
「ロゼットちゃんにお迎えの方がいらしてるんだけど」
お迎えっ!?
まさかまさかまさか!
「憲兵ですか?まさか治安警察!」
「それ知らないけど違うわよ、素敵な馬車よ」
す、素敵な馬車?
クララおばさまの横を失礼しますと昨日の銀髪の騎士団長さんがキラキラオーラを纏ってやってきた
「おはようございますロゼットさん、教会の皆様」
場違い過ぎる、掃き溜めにタンじゃない、掃き溜めに鶴とはこのことだ!いつもは皿洗いから拭いて戸棚にしまうまでしているけど、お待たせするわけには行かない。
「騎士団長様おはようございます今行きます。牧師さますみません」
「大丈夫じゃよ、すぐ行きなさい」
騎士団長さんは手を差し伸べてくれる、コレってエスコートなのかな?平民が貴族っぽい人に失礼なのかよくわかんないけどこの場は手を乗せればいいだろう。
【2人が去った食堂では】
「フォッフォッフォッなんだか絵のような2人じゃのう」
「王子様とお姫様みたい」目をキラキラさせてちびっ子が言った。
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