6

 気が済んだのか、ツキノワグマはおとなしく引っ込んだ。代わりに後部座席の窓が下がり、


 「あ、あ!」


 シュウが遠慮なくハルカの膝を踏んで身をのりだす。忙しなくメガネをずり上げる。


 「ヤンくんっ!」


 ヤンが顔をだした。

 「顔はだすな。あぶない」

 て、パパのはなしも聞かずに目をくりくりさせて手をふる。


 「シュウ! ハルカ! フウ!」


 助手席にはお父さん、ヤンの向こうではお母さんも手をふってる。


 「どうして!」

 「おまえのパパが、」


 お巡りさんが笑う。


 「盗みだしたんだよ」

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