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 「あ、なんですかこれ! かわいいの落ちてる!」

 浜辺のビーチグラスや貝殻にはしゃぎ、


 「かわいいのがいますよ! わたしたちもワンコ飼いましょう!」

 わたし「たち」…?

 「庭付き一軒家!」

 海岸駐車場の野良猫や野良犬にはしゃぎ、


 「ZZZZZ」

 浜辺で下田バーガーランチとお昼寝をして、


 多々戸浜波乗りデートはあっという間に過ぎてゆく。


 凪いだ海みたいな時間がすぎる。おかしいな。あたまが空っぽで、心地いい。


 父親がいなくなって母親から逃げだしてひとのものを奪いながら、いつだって胸のなかには凶暴なオンショアの風が吹いていたのに。ユリちゃんがとなりにきてからはたまに不意に海が凪ぐ。


 午後の陽にムニャムニャなにかゆうユリちゃんの寝顔に、オレもうつらうつら目を閉じた。

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