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 デートっぽいこともしてみたい。


 ふたりで、爪木崎『恋する灯台』をめざす。やぶの小径をどんどん昇る。


 「灯台、小さくないですか! なにこれかわいい! なんですかこれ!」

 おもちゃみたいな灯台にはしゃぎ、


 「なにこれかわいい! なんですか、これ! アザラシ?」

 台座に描かれた昭和モダンな海上保安庁マスコット(アザラシ?)にはしゃぐ。


 「くじらさん、ちょっととなりに並んでみてください! インスタ、インスタ!」

 果てはオレとアザラシのツーショットを SNSに投稿してははしゃぐ。




 灯台バックに写真も撮る。

 木目塗装が剥げた石のテーブルセットとハートのアーチがあり、そのアーチの中から海と灯台バックに写真を撮ることができる。

 (けどベンチの一つに白ペンキで『スマホ台』と、かいてあるだけのスマホ台には台がなくてスマホがおけない)


 「くじらさん! はやくはやく!」

 『スマホ台』に座るユリちゃんが構えるスマートフォンにふたりで収まる。

 スマートフォン画面にはふたりと、ハートと、その向こうにちんまりかわいい白い灯台と、淡く光を弾いた海が収まっている。


 ぴったりくっつくユリちゃんの、ユリの香りが鼻をくすぐる。

 「あ! そうだ! くじらさん、たいへんなんです!」

 カメラ目線のままユリちゃんがわざとらしく目を丸くした。

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