第16話 二度目のデート

ど、どうしよう・・・心臓が破裂しそうだ。

瑞稀が可愛すぎて、今すぐにでも抱きついて頬擦りしたい気分だ。

あんなに悩んでたくせに、今日の瑞稀は大胆且つ可愛いすぎる。

それにネックレスといい、さっきの言葉といい、俺をそんなに煽ってどうする気だ。それにこのさっきから触れてくる手!

やばい・・・今日は健全な楽しいデートの予定なのに、暴走しそうな俺がいる。

どんな心境の変化か知らないが、嬉しすぎて気を抜いたら人気のない場所に連れて行きそうな自分が怖い。

あぁ・・・瑞稀が好きすぎる。今すぐ抱きしめたい。沢山キスしたい・・・。

こんなんで、今日一日耐えれるか!?

一体、何の苦行をしているんだ、俺は!?

沸々を沸き起こるムラムラを必死に耐えながら歩いていると、そんな気はなかったが不意に瑞稀の手に触れてしまう。瑞稀は俺を見上げて照れたようにハニカム。あぁ!可愛すぎるっっ!



「少し休もうぜ」

息を切らしながら瑞稀が座り込む。あんなにムラムラしてた感情も、あれこれと一時間も体を動かしていると次第に落ち着きを取り戻していた。

「瑞稀、あそこのベンチで休もう。俺、飲み物買ってくるから先に座ってて」

そう伝えると、俺は近くの自販機まで走る。自販機の商品を眺めながら端っこに並んでいた微炭酸飲料を買う。

スポーツした後、瑞稀は決まって微炭酸飲料を飲む。本当は汗をかいた分、スポーツドリンクとかがいいのだが、瑞稀曰く、汗をかいたからこそ炭酸でスカッとしたいらしい。それも、がっつり炭酸はお腹が痛くなるから、微炭酸がいいとのこだわりようだ。

手に持った飲み物を見つめながら、瑞稀のその言葉を思い出し、ふふッと笑う。そして、顔を上げベンチの方へ視線を向けると俺の楽しい気分が一気に変わる。

瑞稀のそばに二人組の女がいたからだ。

何やら楽しそうに話しかけているが、瑞稀は苦笑いを浮かべていた。俺は急いで瑞稀のそばに駆け寄る。

「あっ・・・諒・・・」

困った表情の瑞稀に飲み物を渡しながら、何か用か?と軽く睨みを付けて女達に尋ねると、俺を見ながらモゾモゾと体をくねらせ始めた。

「あの・・・さっきから、あなたを見ててかっこいいなと思って・・・良かったら、連絡先交換しませんか?」

その言葉に女達の目的が瑞稀ではないことに気付くが、俺は一環として冷たい態度を取る。

「悪いけど、俺、付き合ってる子がいるから無理。それに、今、楽しく遊んでる最中だから俺達の邪魔しないでくれる?」

低めの声でそういうと、女達はごめんなさいと小さな声でいい、そそくさと立ち去っていった。

「諒、今のは少し冷たかったんじゃないか?」

「いいんだよ。あーゆうのは優しくすると逆効果なんだ。それに、瑞稀とのデートを邪魔されたくない」

俺は飲み物のタブを乱暴に開けながら、ゴクリと一口飲むと、瑞樹も缶を開け飲み始めた。少しの間、沈黙が流れていたが急に瑞稀が服の裾を引っ張る。

「どうした?やっぱり不愉快だった?」

「違う・・・その・・・ありがとう」

「何が?」

「はっきり断ってくれて・・・正直、あれこれ急に諒の事聞かれて、女の子達も可愛かったし、やっぱり諒はモテるんだなぁってモヤモヤしてた」

「瑞稀・・・・」

「こうゆう時、付き合ってますっ!って言えないのは辛いよな・・・でも、諒がはっきり断ってくれて嬉しかった」

そう言って、俺の顔を見つめたかと思うと、キョロキョロと辺りを見回し始めた。俺は何をしているんだと不思議そうな顔で瑞稀を見つめていると、一瞬何が起きたのかわからない程の瑞稀の行動に唖然とする。

そんな俺を他所に、瑞稀は照れながらぼそっと呟く。

「諒は俺のもんだよな?」

その言葉に呆然としながら無意識に頷く。それから、俺もぼそっと呟く。

「い、今、俺にキスしたか?」

「えっ?」

「すまん。一瞬何が起きたのか、理解ができない。キス、したよな?」

俺の問いかけに、瑞稀は顔を赤めて頷く。その姿に、やっと収まりかけた俺のムラムラが一気に湧き上がる。

我慢できずに瑞稀を抱き締めようと手を伸ばすが、その瞬間、瑞稀が立ち上がり俺の手は宙を舞う。

「そろそろ移動しようか・・・・て、諒、何してるんだ?」

宙を舞った手がベンチに付くなり、今度は瑞稀が不思議そうな顔で尋ねてきた。

俺は何でもないと小さく呟きながら、心の中で叫んだ。

何でだよっ!と・・・・。

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