第9話 もうちょいで戦うよ


カリカリと紙に文字を書く音だけが響く部屋の中央、天井で部屋全体を照らすLEDの照明は別段変わらないものだが、この部屋の中ではそれが異彩を放つものになっていた。


天井まで届く木製の重厚感のある本棚にはびっしりと本が並んでおり、その殆どが日本語ではない英語のものや記号がならんだようなものもある。それらは博物館に飾ってあっても違和感を覚えないような、年代をかんじさせるものだった。


カーテンはなくその代わり窓には雨戸が湿られてる。


テーブルの上では羽ペンを握る手が紙の上で動いており、その雰囲気はまるで西洋のようであった。


「ふぅ、これで許可証は書き終わった。あとは、あとはこれを提出しするだけ…」


疲れの混じった息を吹き手を止める。許可証、とやらが書き終わったようで、つけていた眼鏡を外し目を押さえた。


「決行はいつにするか…。決意が変わらないよう、なるべく早い方がいいが。」


トントンと机を指で叩く音が響く。


「どぉしてこうなっちゃったかなぁ。ほんと。」


椅子の背もたれにもたれかかって背をそらす。手を額においている姿は、なにか釈然としない、やるせない気持ちがあるように見える。


またため息を吐いた男は、立ち上がり部屋の隅、一番存在感を放つ物に向かっていった。


それは斧のようであるが、その先には槍にも似た鋭い刃が立っていた。


おもむろにその銀の獲物を手に取り掲げたその顔は、これから自らが行うことへ覚悟を決める意図があった。


「許せ…って、今いうことじゃない…か。」
















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5億年ボタン押して最強になったと思ったらクラスメイトがほぼ人外だった話 ぴゃぁ @toppogi2525

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