第7話 まだ平穏
店を出てぐっと伸びをする14に続いて自分も店を出る。
「おつかれ?」
「あぁ、流石に久々だったからなwww」
まぁ、4時間歌い続けたら疲れるだろうなと言いながら駐輪場まで並んで歩く。
「にしてもお前うまくなりすぎじゃねw急にwww」
「まぁ…練習してたから…」
あはは…と笑いながらごまかす。流石に何億年か練習してたとは言わないし、信じてくれないだろう。
あの後、何度か歌ったのだがその度に満点を叩き出して。14がめちゃ盛り上がってくれたり、6は真剣に聞いてきてその目がちょっと怖くてビクビクしたりと。
まぁ、すごく楽しかったから満足満足。
「こっからはどうする?いつも通りな感じでいい?」
「いんじゃねwww6もいいよな?」
遅れて店から出てきた6に14がこえをかける。
いつも通りとは、カラオケ屋の向かいにあるショッピングモールに行くということでカラオケに来たときはそこでご飯を食べて、買い物をしたりしている。
「お〜い?きいてんのか?」
「……あぁ、すまんぼーっとしてた。俺もそれでいいよ。」
少し間があって6が返事を返す。
全員の意見が一致したので、僕達は自転車を漕いでショッピングモールにむかった。
昼ごはんは何にしようかと、のんきに考えている僕を訝しげ見つめる目があるとも知らずに。
フードコートは昼食時で賑わっていて席を取ることができなかった。平日にも関わらず混み合っているのは自分たちのような夏休みキッズが多いからだろうか。
しばらく待つしかなさそうだったので、僕らは先に他の用事を済ませることにした。ということで、14が行きたいという服屋。そして、僕と6が行きたい本屋の順でまわろうときめ、現在その服屋に来ている。
14はラップ、ヒップホップが好きでよくその話をしてくるし、服の趣味もそれっぽい感じた。
少しパンクな印象も感じる服が並ぶ店に入っていく14につづ いていく。自分は無地のものが好きだが、この店のものは柄付きが多く買う気にはならないし、そもそも手持ちがない。なので14の横で服を見る時間が続く。
この色はどうかとか、これとこれならどっち?とかそんな話をしていると、6が見つからないことに気づいた。
「あれ、6いなくね?」
「奥いったんじゃね?たぶんwww」
「さがしてくるわ〜」
うぃ〜、という返事をすれ違いざまに聞いて6を探す。そこまでの広さはないので、少し歩けばすぐに見つかった。
腕を組み、考えるようにして棚をみていた6に近づき声をかける。
「なーにみてんの?」
「っ!あ…あぁ……」
急に声をかけられてびびったのか、少し戸惑う様子を見せてから顎で棚を指した。
棚にかけられていたのは、アクセサリーでピアスやネックレスなどある程度量があった。服屋にアクセがあるのかと少し驚くがそれよりもデザインが…なんというか……、いたい。
板のようなものなどシンプルなものはいい。でも、十字架やらでかいドクロはちょっと…。まぁ、14の好きそうな感じといえばそうなのだが…。
「……なぁ、11。」
「ん、なに?」
いつもと変わらぬような声色で僕にたずねる14。でも
「なんともない?」
観察、というかまるで証拠をつきだして逃げ場をなくしていくかのような。一瞬で空気を変わったのを肌で感じた。
「なにが?」
自分もなるべくいつも通りで返答する。6は、そうかとだけ答えて14のいる方向へ歩いていった。
やばい、なんかめちゃ怖かった…。
え、なにごと?
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