第6話 合唱


画面に映るキャラ二人が城を模したステージの上で戦っている。一方が相手に向かっていき何度か殴って吹き飛ばす。そのまま追撃をして画面がとまり、光るようなエフェクトが出たあと画面の外に吹き飛んで決着が付いて


「F########ck!!!!!」


敗者の声が響いた。



ボタンを押した日から3日たった。3日間はものを壊さないようにすることを頑張った。その間14の家に行くこともできず(道路などを壊す危険があるため)大変だったが、ある程度の力加減はもう覚えたので久々の外出で今日は14の家に来ている。


「11、ほい」


さっき6に負けた負け犬が、ソファーに座って画面を見ていた僕にコントローラーを渡してくる。負け抜け制のタイマン勝負。この中では6が一番強く僕と咲也がローテーションするのが続くことが多い。

でも、僕は今までとは違う。コントローラーを握ってキャラを選ぶ。

今日こそは…勝つ!












敗因:ゲームの修行をしていなかった



「そういや、11。明日暇か?」


歴の差を知らしめられた僕がソファーで寝ていると6がそう言ってきた。


「いや、何もないけど。なに?なんかすんの?」

「俺等明日カラオケ行こうと思ってんだけど…「こいよw」

そういうこと。」

「命令ですか。まぁ行くけど。」


こういう強引に感じる言い方はいつも通りなので別に気にしない。

誘ってくもらうこと自体嬉しいしね。




翌日


その後、簡単な予定をたて、14の家の前で待ち合わせをして自転車で店まで向かうことになった。


店までは少し遠く橋を一つ経由する必要があり、前までは少しきつかったのだが今となっては力を抑えるのがつかれるという感じだ。…何かっこいいなそういうの。


大体30分くらい凸凹の道と橋を超えれば田んぼが少なくなってきて目的の店が見えてきた。

先についた僕は駐輪場に自転車を停めて2人を待つ。ボタンの中で歌はものすごい回数歌ったけれど、それからカラオケに来たのは初めて。だからどれだけ上手くなっているのか気になっていた。

それに、ひとりじゃないというのもこれだけ楽しみにしている理由の一つでもあった。そんなふうにぼーっと考えていると少しして2人がやってきた。



3人が揃ってから店の中に入る。14が受付に向かって部屋を取りに行く。今はまだ朝の8時、ここから昼までカラオケをする予定だで、もう待ちきれない気分だ。


受付を終えた14が帰ってきたので、部屋の場所を確認してそこに向かう。廊下にかすかに漏れてくる音楽が気分を上げる。足早になりながら階段を上がった。



「誰から歌う?」


部屋について僕はそう声をかけた。自分は何を歌うか決めていないので二人のうちどちらかが先に歌ってくれるとありがたいのだが…


「じゃんけんできめよーぜwww」


ということでじゃんけんに。勝ったやつから1、2、3番となると確認して始める。

結果は、勝ちました…。

勝手かしまったものは仕方がないので機会を使って曲を選ぶ。どうしようかな〜、この三人でカラオケをするときはそれぞれが好きに歌っているから知名度とかは気にしなくていいけど…そう考えつつ少し悩んだあと曲を予約した。


タイトルが画面に表示される。二人が知らない曲だと思うが、いつも通りなので別に気にしていない様子だ。

イントロが流れてその音に懐かしさを感じる。あの暗闇の中で何度も歌い踊ってきたが、その音は想像でこうしてイントロを聞くのも久々だ。


今は前とは違って観客が二人。緊張はしない。

むしろ楽しみだ。


さぁ どう魅了してあげようか





なぁんてね


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