第4話 星を願いに

「残りっ、5万!」


筋トレを始めてから、何千か何億年かしたと思う。はじめは腕立てとか腹筋みたいな“The筋トレ„をやろうと思ったんだけど、修行してる間にある程度の筋力がついちゃったからそれじゃあ効率が悪いし、追い込まれてる感覚がなくて全然楽しくなかったからどんどんレベルをあげていって、いまは腕でうさぎ跳してる。もしも鏡か何かで自分のことがみれたらすごいシュールだろうなぁーって、考えながら運動を続ける。さすがに、ここまでストイックにしていると疲れがたまってきて、変なことを考えるひまがなくなってくる。


そういえば外?にいたときは陸上のクラブに入っていた気がする。あの頃は、疲れていまみたいに運動、走ることに集中して意識がクリアになる感覚が好きで夜にランニングをするくらいだった。そうすると、日常生活のなかで被っていた仮面や日頃隠してる自分の気持ちが外れて、浮き上がってくる気がしていた。自分でも気づいていなかった魂の根底がつかめるようなものだった。なんだか昔を思い出して懐かしさを感じてくる。


(まぁ、外では1日もたっていないんだろうけど)


「よし、一旦休憩っと」


筋トレに区切りをいれて息を整える。ある程度時間がたったと思うしもうそろそろ次にいこうかと、考えるけれどもさすがにもう思い付くものがない。やりたかったけど、できないことはほぼできたしなぁ~ 。そう思っていると、ピコンという効果音が出そうなほどのひらめきがきたぁ!


「うたと修行と筋トレ、この三つをループすればいいじゃん」


いやぁ、我ながらナイスアイデアだ。そう思ってかおをふる。


「それじゃあ、三つをループしつつやりたいことが思いついたらやってくかんじでいいかな」


それだと、ものすごいきつそうだけどだいじょうぶ。やりたいことだし、時間もまだまだいっぱいあるから休憩もいっぱい!


「てぇことで、レッツスタート~」


















もうどれくらいたったかなと、心のなかで思う。いま修行中、大体10周目を越えた辺りだと思う。これまで色々な修行をしてきたけれど、この頃考えていることが、自分の流派を作りたい。結構剣─手刀─だけど技術は上がってきたと思うし流派を作っても怒られないと思う。まぁ一人しかいないんだけど。


で、色々試行錯誤して型─というか技─を作れたんだけど、肝心の名前が浮かばない。こういうのって名前が一番大事なはずなのに、それが思い付かない。さっきから素振りをしながら考えているけれどだめだった。自分の名前を入れてみてもいいけどしっくりこない。『そもそも名前なんか必要でもないしいいでしょ』と、言われてしまえばそれまでだけど。


このまま考えていてばっかりでも埒が明かないと思い一度素振りをやめる。少し疲れてきたので、寝転がって上を見る。もう何億年がたっただろうか。ボタンを押したときの表示は2999億年だったが、もう半分はいったと思う。この空間は相変わらず暗いままで、端にたどり着くこともできてない。気が狂いそうになったときもあったけど、少ししたら慣れていった。この空間の中で変わっていくのは自分だけで、他は何も変わらない。そんなことにももう慣れてしまって、外のことなどほとんど気にすることがなくなってしまった。


それにしても

「なんだか違和感があるんだよなぁ」

もうこの生活になれてしまった中での違和感を僕は上を見ながら感じていた。何億年と過ごしてきたのになにに違和感があるのかと、自分でも思う。ただ、放っておいても素振りに集中できないので違和感の正体を探る。恐らくこれは、外と今のこの空間との違いで感じていると思うんだが…うーん…

なにかここにあって外にあったもの…

なかなか思いつかず暗い空を眺めるばかり…ん?そら…?


「あっ!星か!!!」


なるほど~星か〜。どーりで違和感があったわけだ。というか、よくこれまでなんとも思わなかったな。


にしても星か。そういえば兄が星を眺めるのが好きだった気がする。兄がベランダから星を眺めている隣で色々教えてもらっていた。そうして自分も星もを眺めるのが好きになった気がする。


「てっ、そうだ星だ!」


これだ!星とか宇宙とかそこらへんをモチーフにした技とか…絶対かっこいいやん!そしたらイメージが湧いてきたぁ!やるぞーーー!!!


そうして僕がやる気になっていると


ガチャン


そんな音が聞こえた きがした


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