第4話 フォロワー獲得大作戦

『第一回、ミーコがフォロワー千人集める方法を考える会、始まるよ~!』


:イェェァァァアアア!

:日替わり謎の会クセになってきた

:これが俺のデイリークエストってわけ

:今日も四人か。安定感あるな


『説明します』


:どうぞ

:お願いします


『ほぅ、貴様がミーコか。この我をママにしたいそうだな』


:またなんか始まって草

:がんばって出してる低い声かわいい

:ママ候補に魔王属性付いちゃった


『条件を出す。一ヵ月以内にフォロワーを千人集められれらたた……ふふっ』


:嚙んだw

:諦めんなよw


『一ヵ月以内にフォロワーを千人集めラレタナラバ、貴様のママになってやる』


:なるほどね

:多重影分身の術!


『分身はダメ。ズルしても意味無い。実力でがんばりたい』


:異世界転移とチートスキルはセットだぜ


『ミーコには既にチートスキル《兄》が発現してるから』


:くっ

:お兄様はスキルだった?

:とりま状況は理解した。フォロワーって、チャンネル登録者数のこと?


『ツイッター』


:ついったー?

:知らない子ですね……

:公式が勝手にXって呼んでるだけだから


『というわけで……』


 ミーコはパソコン画面を配信した。

 配信画面に彼女のアカウントが表示される。


『じゃーん、早速アカウントを作ったぜ!』


:フォローした

:ワイも

:私も

:俺も


『へへっ、ありがと。愛してるぜ』


 ミーコはパソコン画面を操作して、マウスカーソルを「フォロワー」の位置に移動させた。


『ふーん、これがお前らのアカウントかぁ』


:きゃー!

:あーダメダメ! エッチすぎます!


『後で楽しむね』


:ミーコ、お義姉ちゃん許さないよ

:おっ、今日もお兄様ガチ勢おるな


『というわけで、あと996人を集める方法を考えるよ』


 ミーコはパソコン画面の配信をオフにした。

 配信画面は元に戻り、アバターとコメント欄、申し訳程度の背景が映った状態となる。


 ミーコのアバターは困った表情をした。


『冷静に考えて無理ゲーじゃない?』


:その心は?


『だってさ、学校ひとつ分の人がミーコをフォローするわけだよ? もはや校長先生じゃん』


:ここにミーコ学園を設立します


『チャンネル名はミーコ学園っと』


:草

:今作ってんの?


『URLこれだよ~』


:チャンネル名ほんとにミーコ学園で草

:まだ何も投稿してない感じか

:このスピード感いいね。ワクワクする

:結局、肉体はどうするの?


『肉体は、ミーコの手書き猫を使います』


 ミーコは再びパソコン画面を共有する。

 そこには六種類の猫が表示されていた。


:表情差分あって草

:ユラティブのスクショは規約違反だっけ?

:この絵で千人か・・・

:審議中


『ミーコの猫、ダメ?』


 コメントは沈黙した。


『……そっか。がんばって描いたんだけどな』


 ミーコは回想する。

 千人のフォロワーを集める為、一生懸命に絵を描いた時のこと。


 何度も書き直し、これだと思った猫を採用した。

 表情差分を描く間に、それなりに愛着も湧いていた。


:いや、ダメってわけじゃないんだけどさ

:私は可愛いと思うよ。ゆるくて味がある感じ


『う~、優しさが染みるぅ』


:肉体を求める猫


『むむ?』


:あー、そういう設定か

:絶妙。魂だけになった猫って感じが出てる


『……おみゃぁの肉体、ミーコにくれにゃ!』


:はい喜んで!

:もっと健気な感じにしよう


『健気?』


:フォロワーが千人集まると肉体が貰える猫

:100日後に集まりそうな名前やな

:全力で媚びる感じか


『ん-? どんな感じ?』


 ああでもない、こうでもない。

 ミーコをプロデュースするための試行錯誤は夜通し続いたのだった。

 


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