第27話
「一般的にIQが20離れていると会話にならないらしい」
「誰が最底辺かで戦争が起きますね……」
あちらもこちらも馬鹿ばかり。
俗説といえばまぁそうなのだが、そういうことらしい。中佐殿こと「
対して、「
「殺人鬼じゃないのか?」
「彼はああ見えて……いえ、ああ見せるくらいの悪知恵は働いてますよ。本当に馬鹿だったらそもそも軍人にはなれませんし」
「後からしつけることも出来るだろう」
「それは底辺を見てないから出る感想ですね」
そう言って遠い目をしたヤードは、やはり見た目だけなら儚げなのだが。カーディナルは訝しそうに目を細めて、い、と口の片側を歪めてみせた。
「最悪、痛みが理解出来るなら充分だろう?」
「恵まれていて羨ましいですねぇ……母数の問題でしょうか?」
「……そんなにか?」
「えぇ、言葉も道理も何もかもが通じない人間っていますよ」
「それはもう馬鹿とかではなくてただの最悪では?」
「まぁそうなんですけど。それらに比べればあの殺人鬼は賢いまでありますよ」
「俄には信じ難いが……」
どちらが、という問いは宙に浮く。岩の上に伏せて射撃姿勢を保っていたヤードの指が引金にかかり、銃声。双眼鏡を取り出したカーディナルは更に目を細め、銃口の先の惨事を観察する。
「着弾はしたが惜しかったな」
「胴を狙ったから当たりはするでしょう」
「まぁ面積が広い部分を狙うのがセオリーだからなこういうのは」
「やっぱり宗教家ではないですよね貴方は」
「本人が一番思ってるんだがお前が呼んだんだろうが」
「服装がそうだったので……あ、こっち来てますね」
「炸裂弾だったか?」
「えぇ、だから逃げようと思えば逃げれますけど」
「ここで潰しておくに決まっているだろうそれこそセオリーだ」
「まぁそうですよねぇ、負ける要素がないのに逃げるのはそれこそ馬鹿の所業だ」
狙撃銃を手早く片付け、愛用のシャベルを携えるヤード。その横で双眼鏡をしまい大剣を掲げるカーディナルの視線の先には、あからさま過ぎるくらいあからさまな、ゾンビが一体、這いずっていた。
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