第34話 殺戮生物

 私たちが見ているこの景色は本物だろうか。この世は赤かっただろうか私たちは本当に今どのような世界に居るのか分からない。あれは本当にレインなのかも分からない、だがこれだけははっきりと分かる。レインは今本来の力と今のレインの力で開放にあらがっている事だけは私は分かる。そう、レインの本来の姿はあの優しいレインではなく……人間も神も全部殺したいと思うあのレインが本当の姿なのだ。私はレインの事が好きだ……。好きならレインを止めるべき。


 「リリア、私行くね。」

 「サラちゃん……死にますよ。」

 「私はレインの事が好き……だから行く」

 「それは私も同じことです。私も助太刀します!!」


 二人の美少女が世界破壊機械シリーズモデルD(超成長のプラノスアイリス)に立ち向かうことにしたがやはり七王の方に止められてしまった。


 「お前ら死にたいのか。プラ様を救えるのは私たちしかいないのよ?」

 「サタナキア様たとえ私たちが弱くても愛なら負けていません。行かせてください!!」


 サタナキアは二人の彼女の目の奥にある固く結ばれた何かに押され渋々了承しサタナキアは二人に「プラ様をよろしくね」といつもの真剣な声ではなく彼女自身の優しい声で言った。二人は習得した飛行魔術で城内を出て紅き深淵の中へ向かって行った紅き深淵の周辺ではプラノスアイリスの眷属と思われる人型の生物が密集していた。


 「リリアここを猛スピードで抜けるよ!!」

 「はい!!」

 

 辛うじでプラノスアイリスの眷属の群れを超えた先で見た景色は二人には強烈過ぎたのだ。


 「なにあれ……。」

 「あれがレインさんですか……。」


 二人の前に現れた景色は地面にできている大量の死体に乗っている血だらけのレインだった。おそらくこの数千の死体は全員冒険者だろう。呆然としている二人の後ろに現れた影が二人にある物を渡し小声で「これを今すぐ飲め」と言ってきた。二人は言われるがままに薬を飲まされて少し目がくらみ倒れた時にその影の人物は二人を抱え山奥の隠れ家まで連れて行った。


 「目を覚ましたか。」

 「んー、ここはどこですか。」

 「強引な方法ですまんな。」

 「あなたは誰ですか。」

 「早くレインのもとに!」


 混乱する二人を前に落ち着いた表情で謎の謎の人物は話し出す。


 「まず私は、七王第七席次のシラです。よろしくね。」

 「へ……七王様でしたか!」

 「すみません、すみません……七王様と分からずにご無礼を。」

 「いえいえ、こちらこそ二人を強引な方法で眠らせてすみません。あと敬語は不要です。」


 シラとサラ達は互いに自己紹介をしてプラノスアイリスの件について話し出した。


 「皆さんは知っていますよね紅き深淵とは何か……」

 「ある書物によるとこう書いていました。『紅き深淵が現れた暁には生物は滅び土地は血肉と変えるだろう……』と昔神話の書物で見たことがあります。」

 「リリアそれって何なの。」

 「そうですリリアさんが言っているこの神話は本当に起きたことです。昔ある国が紅き深淵に飲み込まれ壊滅したと言うことがありました。」

 「ってことはレインさんが紅き深淵の張本人?」

 「そう言うことです。」


 二人は第七席次シラとプラノスアイリスの紅き深淵の謎について長く話した。そこでシラが二人にある首飾りを渡してくれた。シラによるとその首飾りはプラノスアイリスのフィールド魔術【紅ノ目あかきしんがん】の効果らしくて、対処方法は七王全員が常備しているこの首飾りしかないらしい。紅ノ目の効果は見ての通り人が首飾りをしていない者が領域に入るだけで血を奪われ、奪われた血は霧となりプラノスアイリスの周りを纏うという魔術だ。二人は説明を受け早速プラノスアイリスの元へ向かうことにした。周りの眷属は七王のシラが片付けてくれる、二人は急いでプラノスアイリスのもとへ行った。


 「レイン大丈夫、私たちが居るよ!」

 「レインさん、思い出して……。終わったら嫌になるぐらいに遊びましょう。」

 「お前らは誰だ……。我のもとへなぜ来た。」

 「レイン思い出して!!」

 「まぁいいまとめて潰す。【破壊術式 最後ノ目はかいじゅつしき ラストアイズ】」


 プラノスアイリスが破壊術式を放った瞬間二人の周りの空間から紅く光った目の眼差しが至る所に出てきて真紅の光線を撃ってきた。二人はすぐさま防御魔術を使い自身を守ったのだがそれでも破壊シナリオレベルの攻撃となると二人は守れずに吹き飛ばされた。


 「レイン……早く……思いだ……して。」

 「お前は誰だ。」

 「レイン……さん……私た……ちはレイ……すき……。」


 リリアは気を失ってしまった。プラノスアイリスの攻撃は一つ一つが破壊級だ。これを少しでも守れた二人は凄い事なのだ。今にも倒れそうなサラに次の攻撃を放とうとしたプラノスアイリスを一本の白い閃光が走った。ものすごい量の煙から現れたのは綺麗な水色の髪の年は二十歳ぐらいの人だった。


 「プラノスアイリス、俺達は昔から仲が良かった家族ではないか……。僕はプラ君を助けたい……。だからプラ君、早く元に戻ってきて……。」

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