第29話 全知全能

 激しい爆発音と共に吹き飛んできたサラ、天理は余裕そうにクスっと笑った。サラではもちろん天理には敵わないだろう。それはリリアも同じだ、あいつらがどんだけ頑張っても勝てないものは勝てない……。俺はそれを知っていたが二人はとても強い意志で戦っていることで俺が止めれば俺は最悪な人間になりかねない。俺は渋々二人と一緒に天理と戦っていた。俺が知っている限り気を付けないといけないことはやはり【電雷砲弦でんらいほうげん】と【異界ノ覇者いかいのはしゃ】だろう。正直に俺もあいつの事を沢山知っているわけでもない。俺はあいつの事を少しも知りやしないのさ。だから戦っている内に情報を引き出せれば良いのだけど……。


 電雷砲弦のやばい所はその火力だ。あいつの得意とする砲弦魔術は、あいつ特有の神力だ。あいつは四神を司る神だからな、そこらの神とは別格なんだよ……。電雷砲弦の威力は軽く帝国を一撃で陥落させるほどには強烈だ。


 それと同じで、異界ノ覇者の効果も厄介だ。効果は、すべての攻撃を無視しそれを体内に吸収して自身を強化する技だ。普通の輩が使っても弱いだけだ。だけどあいつの力量なら冗談にならないほど強化されるだろう。


 俺はひとまず破壊術式をイブルシファーに撃ったのだがもちろん食らわないどころか俺の背後を取りあがったのだ……。斬撃音と共に俺の背中から激しい血しぶきが吹いた、切られたのが俺でよかった。俺はすぐさま魔力で斬られた体を無の状態にした


 「すこしまずいな。サラ達今すぐ後ろに下がれお前らじゃあいつにはダメージを与えられない。」

 「たしかに……。それはそうですが。」

 「リリア!!下がるよ!!」

 「サラさん……。」

 「レインが認めてる相手だこれは私たちが邪魔していい戦いではない」

 「分かりました……。」


 二人が後ろに行ったことで俺も本気が出せる。ここで理滅剣を出して切りかかればいくらあいつでも無事なはずがない。俺はすぐさま理滅剣プラノスアイリスを出しイブルシファーのとこに行き斬りつけたのだが。イブルシファーには理滅剣が効いていない……。


 「プラノスアイリスよ……。お前の理滅剣は確かに強いし食らったらひとたまりもない……。だが今、お前は本来の力を出せない。私はお前の生みの親だ、自分の子の強さぐらい知っていてもおかしくないだろう。」

 「それは……そうかもな、でもイブルシファーよお前は少し勘違いをしてはいないか?。」

 「何だと?」

 「俺の理滅剣の効果を知っているようだがその効果は誤りだ。確かに理滅剣は理をも破壊できる力を持っているのだが……。逆に理を新しく作ることもできるんだよ……。」

 「そんなはずがあるわけない!!。理は神界が作られた時からあるもの、お前が変えられるはずがない!!」

 「じゃあこうしよう……。理滅剣が俺の体の一部なら?。体の一部を変えることは可能だ。理を変えることもできる剣……すなわち俺が理自身と言うことだよ。」

 「お前は……何者だよ……。」

 「俺は……世界破壊機械モデルD 超成長プラノスアイリスだよ」


 俺と天理イブルシファーの激しい斬り合いが始まった。レインが理を変えれる中イブルシファーがレインを斬ることは実質的に不可能だ。斬ったとしても自分を斬ったことにされてしまう……。この戦いは圧倒的に天理イブルシファーが不利すぎる。


 「プラノスアイリス……。俺がお前に単純勝負で勝てるはずがない……だが、魔術量なら負けない……。」

 「イブルシファーの負けだよ。あきらめな……。」

 「【神王魔術式しんおうまじゅつしき 神祖桜花しんそおうか】」


 レインは少し怪しげな顏をした。神王しんおう魔術とは神の王だけが使える最終手段の為の一撃必殺魔法これはいくらレインでも詳細までは知らなかった……。だけど一つ分かることがある、肌で感じるほどの危険な予感が……。


 イブルシファーの魔法が放たれた。周りは時空が歪みいたる所から透明な刃が降り注ぐ、レインはよけようがなく食らう一方だった。神祖桜花の特徴は攻撃範囲が広すぎるところだ。これはかつての話だがこの技一つで世界が滅亡したとかなんとか……

技の効果範囲が広すぎる故にレインにとっての禁忌をイブルシファーはやってしまった。それはサラ達にその攻撃を当ててしまったからだ。


 俺の体の中で何か切れた物があった……俺は今までの事が本当にどうでもよくなった。ただ一つ言葉をこぼしながらイブルシファーに言った「お前に明日は……ない」

その刹那俺の動きが別人同然だった。目に見えないスピードでイブルシファーを攻撃している……。


 「イブルシファー俺はお前を許さない……。よくもサラ達に手を出したな。」

 「プラノスアイリスたとえお前が私たちよりも格段に強かったとしてもお前が嫌人間達が……。我ら神に勝つことはあってはならないのだ。」

 「そうかもな……。だけど俺はもう人間をやめている……この力が人間の物と思うのか?。イブルシファーよ……。俺はここで誓う【俺の最弱でお前の最強を破る!】

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