第26話 刺客 ―冥界―

 「七王様たち!!」

 「何でしょう??」

 「出来ればで良いんですけど……、サインを書いてほしくて。」


 リクが話し始めたと思ったら意外な一言だった。確かに向こうの世界、元居た世界は俺たちは有名人……。「そんなにか……」俺は微かに心の中で思ってしまった。でも赤髪が来てくれたことによって。話す相手が増えたこともまた良いことだ。俺は、赤髪に感謝をしている。そう言いながらもナザリッテ地下大迷宮の最下層についた。俺は、すぐさま七王に「何か変な雰囲気するから、周りを探索しててくれ」と指令をだし、七王が断ることもなく適当にふらついている。


 「リク、お前が来たかった最下層だ……。」

 「やべぇ~……神秘的だ……。俺は仲間と一緒に来たかったんだよな……。」

 

 ――じゃあ仲間と一緒のところに連れあげましょう……――


 急に空間から聞こえる声すごく怖い。今のリクは使い物にならない……。穏便に済ませたいのだが、やはり、やるしかないんだな……。


 「おいリク、お前は危ないから隠れておけ……。」

 「わかり……ました。」

 「最後のお話は終わりかな?」

 「あぁー済んだよ。」


 そういって俺の目の前に現れたのは、俺よりか三回り大きい獣人?なのか。でもこいつも明らかにそこら辺のモブ敵ではないな……。俺は強いものの名前は聞いておきたいんだけど。取り合えず聞くだけ聞いてみるか……。

 「なぁーお前……お前の名前を聞いていいか?」

 「あぁぁそういえば挨拶していませんでしたねぇ~。失敬」

 「俺は【カッパー冒険者のレイン】だ!」

 「あなたみたいな人がカッパーだ?人間も見る目が無いんだな。いえいえ、すまない私の名は【冥界ノ使徒 第四席 オグ】だ……」


 俺は確信した。やはりこいつはただ者ではない……。薄々気づいていたんだけどさやはりこんなに上手く獲物が来るのは想定外だ。


 「ヴァルキュリア……。お前の部下を殺してやるよ……。」

 「私もそろそろ、行きますよ。」


 次の刹那、オグが人間二人分はあろう大きな剣で俺を斬りつける。俺もそこら辺よりかは強いのは知っている。もしオグと戦っているほかの冒険者ならさっきの斬撃で九割は死んでいただろう。


 「オグよ。君が剣で来るなら僕も剣で行こうかな……。【線撃 四千雷鳴せんげき しせんらいめい】」


 オグは俺の光をも超えるスピードでかなり焦っていたが、正気を取り戻し落ち着き俺の線撃を受け流した。


 「レイン、お前なかなかやりますね。でも私もまだ負けていませんよ。【大穴くればす】」


 ったく、面倒だな。大穴は対象者の周りの行き先をすべて予測し大きな見えない穴を作る魔術だ。オグは【大穴】とセットで【千本剣せんぼんけん】を使った。流石の俺もこれは避けれずに、じわじわと体が削られていく。


 「レインさん大丈夫ですか!!!」

 「まぁ~何とかね。でも少し面倒だ、今の俺にはあいつを倒すほどの力がない。しょうがないな……。」

 「リクだましててすまないな。一割だけ本領を発揮させるね……。」

 「え……。どういう事??」


 俺はそう言い、その場で呪文詠唱をはじめた。オグも本領を発揮した俺と戦いたいのか呪文詠唱し終わるまで待っててくれた。


 ――リミット解除――


 詠唱をし終わると、俺の髪がどんどんと雪のような綺麗な白髪になる。


 「おまたせした。オグ……。俺はプラノスアイリスだ……」

 「お前があのプラノスアイリスなのか……。『プラノスアイリスが出たらすぐヴァルキュリア様に言うように言われているけど。一回でもいいから戦いたいな……。』」

 「レインさん……??」

 「おい、オグお前とすぐ決着をつけたい。【一太刀ひとたち】」


 レインの長い刀身は軽く振り下ろされただけで周りの物が爆音をあげつつ割れる。リクは自分が目標にしていた最強の存在プラノスアイリスが目の前で戦っているのに夢中でずっと目をキラキラ輝かせていた。


 「さすがです……。プラノスアイリス……。冥界の加護があってのこの破壊力か……。私も一発与えたい【大地術 岩石流星だいちじゅつ がんせきりゅうせい】」


 オズの岩石流星で周りの人の四倍はあろう岩石が空中からレインのほうに降り注ぐが……。レインは微動だにしない……。しまいには「お前は魔術を使ったけど……。発動されてないぞ」とオグを挑発する。


 「だまるんだ。プラノスアイリスお前は所詮人間だ。人間の身体能力は知れた物さ。獣人の身体能力を使えば」


 オグがレインに命を刈り取る構えをしながら目に見えないほど早く、レインの懐に潜ったのだが。オグは、レインに一撃を入れることはできなかった。オグは自分の体を見たら、体が血だらけだった。


 「っグ」

 「お前の動き……おそい……。」


 レインの手刀がオグの腹を貫通していたのだ。ポタポタと徐々にしたたり落ちる血の音と一緒にオグがレインに最後のあがきを見せる。「せんじゅ……つ は……そ」オグはレインと同じ技【刃祖】を使いレインに命中させたのだが。レインはびくとも しない……。オグは時期に絶命し、レインも目を閉じてその場に倒れた……。


 「やはり使い物になりやしない……。第四席は……。」

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