第15話 王国襲撃その2

 今、銀髪の人間サイズの刀を持っている線撃のアルハードが俺の前に立ちはだかる。こいつの特技は超高速移動だ……。できれば遠距離戦で戦いたいのだが、アルハードがそれを許してくれるはずがない……。一旦アルハードと俺を引きはがそう。


 「落ちこぼれ君~、君にはきちんと死んでもらう義務があるんだよ」


 アルハードが挑発をしながら、猛スピードで技を放ち突進してくるのだ。


 「【線撃術 雷鳴】せんげきじゅつ らいめい

 「ったく、面倒だな。」


 確かにアルハードは、強い……。だが、勝てないほどでもないんだな。俺はひとまず雷鳴を避けつつ相手の懐に潜る。


 「【破壊術式 死手はかいじゅつしき しのみちびき】」


 俺は、近距離魔術を使い、体内ごと壊そうとしたけどアルハードは、簡単に避けあがた。アルハードは、カウンターをして俺に一太刀入れてしまったのだ。


「ったく……。お前はやはり強いんだな……。」

「いやはや、さっきの近距離魔術はハラハラしたぞ、さすがにびっくりしたな~。落ちこぼれ君には分からないと思うけど、予測できていたんだよね……。」


 俺は腹を抑えつつ回復魔法で自分の体を癒した。俺は今こいつに勝てるビジョンが見えない。どうしようか……。


 一方そのころサラ班では、順調に周りから落としている。サラはかなり順調だが、そこに不穏な空気が漂っていることを、サラは察していた。


 「なんか変なのです。」

 「!!!」

 「皆さん一時撤退をしてください!!。」

 「……【動音術式 人魂ノ吸収ことだまじゅつしき ひとだまのきゅうしゅう】……」


 サラは、間一髪で避けたのだがこの攻撃はかなり広範囲で、リカバリエ軍のサラ班の兵士はかなり死んだ。人魂ノ吸収で吸収されたリカバリエ兵の魂は魔法を放った張本人のところまで吸収されたのだ。


 「あらぁ~、かわいそうだねお嬢ちゃんどうしたのかな。君が今回の襲撃の関係者?」

 「おまえ、だれなのだ!」

 「私は、動音のリッカだよ……。」


 サラは名前を聞いて確信したのだが、やはり影縫のメンバーは迫力が違う。サラは、震える両足を抑えながら。リッカに技を放った。


 「死んでもらうぞリッカ!!【血鮮花術 桜花楽園けっせんかじゅつ おうからくえん】」

 「君は、可愛いからね~出会ってすぐ退場は悲しいよ……。でもね攻撃してきたなら私も反撃しないとな~【動音術式 魂ノ導手どうおんじゅつしき たましいのあんない


 サラの綺麗な花びらの渦とリッカが殺してきた魂の渦が一か所でぶつかり合い、青白く光った。サラは攻撃を食らい激しく後ろに吹き飛ばされる。


 「レインが言っていた通り、強い……。」 

 「きれいなお嬢さんを殺すのはもったいないな~。吸収しちゃおうか。」


 サラが魂を奪われそうになった時、後方から騎士隊長の声がした。


 「サラ様から、離れろ!!。【月光切りげっこうきり】」

 

 騎士隊長の放った斬撃は、リッカに直撃した。リッカは体を守りつつ、カウンター魔法を発動した。カウンター魔法で騎士隊長が激しく倒れる、サラはその光景を見てかつて自分も同じ状況があったと思い、怒りがこみ上がってくる。


 「サラ様、気を確かに……。私はもうだめかもしれないが、サラ様がいる限り私たちは……まけま……せ……ん……」

 「リッカ、お前よくもやってくれたのです……。私がこんなに怒るのは久々です。」

 「【血鮮花術 月光血ノ宮けっせんかじゅつ げっこうのちのみや】」

 「お前なにをした!体が……。」


 サラの月光血ノ宮は見事命中し、リッカの体内からどんどん血を抜いていった。サラは本当に怒っているらしい。血を抜いた後でもまだ血を吸おうとしている。


 本部にサラから連絡がきた。その連絡は、影縫のメンバー動音のリッカを討伐した事と、騎士隊長の死がエルメス王の耳に入った。


 「そうか……騎士隊長がやられたか。騎士隊長をしのぐほど影縫は、強いのか……。しかもこれが戦闘要員ではないとなるとほかのメンバーはどれほどになるか。でもサラ殿は見事な働きだな、影縫メンバーを討伐するとは……。見事だ」


 エルメス王は泣きながらそう言った。


 一方レインは……。


 「ねぇ~落ちこぼれ、お前は弱いんだよ。だから俺の剣技についてこれてない。お前は潔く死ねばいいのにな。【線撃術 一刀雷鳴せんげきじゅつ いっとうらいめい】」


 アルハードがさっきとは桁違いの線撃で、爆音と共に超高速で俺の首元まで太刀が届く、俺は高速で移動しているアルハードに向かって蹴りを入れた。蹴りと言っても超高速移動しているアルハードにとっては死に至るほどの威力になる。


 「あれ……。アルハード引っ掛からなかったのか……。」

 「あぶないねぇ~これ当たっていたら死んでたよ。」


 そのまま斬り会いが始まる。あまりにも早すぎるからその影響で周りの建物がどんどん倒壊してくる。


 「落ちこぼれ~、お前は確かに強くなった。お前は強いだが、戦闘センスは俺の方が上みたいだな。」

 「ッグ」


 またしても俺の腹部に一太刀はいる。これは少しまずい、俺はやはりアルハードには勝てないのか……。でも俺はまだあきらめてはいない。


 「俺は誓ったんだ、俺の最弱でお前の最強を破るとね。」

 「アルハードお前も一撃食らっとけ、【雷撃術 雷音根元らいげきじゅつ らいおんこんげん】」


 レインが放った技で、アルハードの片腕を雷鳴と共に持って行った。


 「お前なぜ術式を……ふく……すう使えるんだ……。」

 「はぁ~、やはりお前は俺のことを知らないんだな。君は俺のことを落ちこぼれと言ったな……。お前俺の固有魔術を見て行ったのか?。俺の固有魔術はすべての術式を使える、使えない技は何もない。これを聞いて面倒な相手とは、思わなかったのか?」

 「確かにお前は面倒だなレイン、やはり俺が本気で潰さないとお前に勝てるのはガードだけしかいなくなるな。」

 「権限せよ、剣魔の力を我に与えよ……。」


 アルハードから勢いよく漆黒のオーラが舞う。


 「レイン俺がここまでした相手は、お前が初めてだよ……。一から楽しもうじゃないか!!」

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