第73話 手紙
『勲君、賢治君、由那さん
3人とも無事に向こうに着いたでしょうか。こちらは何とかなりました。
サイザワさんは、邪神のいる地へと転送していきました。きっと元気で戦っているのではないかと思います。
こちらは皆、元気です。俺はアンソフィータのダチュラに戻っています』
『山田太郎様
賢治です。3人とも、無事に戻りました。不思議なことに、時間はそれほど経っていなくて、2週間、行方不明だったみたいです。
3人とも、何も覚えていないということで通しました。現代の神隠しとか一部で騒がれていたといいますが、そのうち収まると思います。
この共有しているトランクルームは他の二人は駄目でしたが、僕は使えそうです。
どうも向こうの世界で身につけた能力は総てそのままというわけにはいかなかったみたいです。体格は召喚された時と同じに戻っていて、キツかった制服も問題ありませんでした。そのくせ、鍛錬した身体能力は上がったままでした。でも、残念ながら魔法は使えません。
身体能力が上がっていることは今のところ、一応隠しています。ユナは「私も鍛錬もっとしておけば良かった。なんか損した気分」と悔しがっています。彼女は、魔法だけを磨いていましたから。
魔法が使えなくなった事については、戻ってくる時に自分達の
トランクルームが使えるのが僕一人なのも、そうしたことと関係あるのでしょう。こちらの世界や僕たちに
色々とお世話になりました。最後は、何も話せませんでしたが、本当にありがとうございました。このご恩は忘れません。
もし、何か出来ることがあれば、言ってください』
『勲君、賢治君、由那さん
無事に向こうの世界に帰ることができて良かったです。心配していた時間も2週間程度で済んだのならば、学校の方は大丈夫ですね。
同封した手紙をポストに投函して貰えますか。会社への辞表と、実家への手紙になります。
一応、けじめはつけておきたいと思います。
お手数をかけますが、よろしくお願いします』
『山田太郎様
手紙は近くのポストで投函しました。切手まで持っていたのですね。社会人てすごいなと思いました。
それから、先日催事場で売っていたのを見つけましたので、送ります。無事に届くといいのですが。
55○蓬○の豚まんです。肉まんがお好きだと聞いたので、三人で買いました。あまり沢山ではありませんが、皆さんでお召し上がりください』
『勲君、賢治君、由那さん
豚まん、ありがとう。一部、熱狂的な肉まんファンがいて、凄かった…………』
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………………………………
「マスター、また、手紙を書いているのですか」
「ああ。まあ、そのうちやり取りも無くなるさ。
トランクルームがいつまで使えるかわからんし、もうじき大学受験だろうしね。
俺としては寂しいが、その方がいいと思うよ」
完
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太郎と白金の話は、ここで一旦一区切りにしたいと思います。
ここ迄読んでいただきまして、ありがとうございました。
本当に沢山の人に読んでいただいて、嬉しかったです。
本当にありがとうございました。
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