ネメシスガンド
植村との戦闘で劣勢に陥っていたルキフグスは、地上から上昇してきた“赤い竜”の残滓をその身に吸収すると纏っていた全身甲冑を真紅に染めていく。
それは召喚した“赤い竜”を自らの一部として取り込み、全能力を大幅に強化させる最終形態だった。
“夜空マナ”が『木花咲耶姫』を外装としてその身に取り込んだものとは少し違うが、ルキフグスもまた“赤い竜”を内側に取り込み【融合】したのだ。
もしかしたら、わざと地上の冒険者たちに“赤い竜”を倒させて魂だけを抽出したのかもしれない。
『まさか、この姿を見せることになろうとは。創造主が、我を呼び寄せた理由をようやく理解した……貴様のようなニンゲンが現れ始めたからだったのだな』
「また、創造主か。そいつは一体、誰なんだ?」
『聞かれて答えると思ったか?それよりも先に、貴様が考えることはあるだろう。どうやって、我に勝つか……ただ、それだけを考えろ。死にたくなければな!』
ルキフグスが呼び出したのは、四つの竜の頭蓋のような見た目をしたエネルギー体。形態は“ネメシス”に酷似していたが光と熱が交わったような彩りで、それに濃密な魔力が凝縮されていることは素人が見ても一目で分かるほどだった。
「
『ネメシスガンド!!』
光属性の最上位術式だった“ネメシス”に赤い竜の力を加えて進化させ、火属性をも付与された強化版ネメシス。その名も、“ネメシスガンド”。
植村の飛ばしてきた赤い光刃“貪狼”と青い光刃“巨門”を、強化させれた熱線で一撃のもと撃ち落とす。先ほどの交戦では“
強化されたのは光線だけではない。ルキフグスの動きをブーストさせる効果も健在で、その勢いも段違いに跳ね上がっていた。
再度【光の円輪】を手に植村へと斬りかかると、一転して劣勢だった戦況を覆していくルキフグス。
植村も残る“
“
既に四つの光刃を失った植村に対して、ルキフグスには四基の“ネメシスガンド”が全て残っている上に、“赤い竜”との【融合】で強化された自分自身も攻めに加わる激しい直接攻撃で徐々に追い詰められていく“植村ユウト”。
ギィン!!
ついに、植村の手にしていた『神剣アガートラーム』を弾き飛ばすルキフグス。慌てて剣を手元に呼び寄せながら回避行動を取るが、そこへすかさず四基の“ネメシスガンド”が襲いかかる。
バランスを崩しながらも腰裏から『魔銃タスラム』を引き抜いた植村は、わざと弾速を最低にした魔弾を連射する。そうすることで即席の弾幕を作り出したのだ。“ネメシスガンド”の熱線によって簡単に排除されてはしまったものの、その間に手元へ愛剣を取り戻すことには成功した。
だが、相手もその隙に新たな術式の発動に取り掛かっていた。
手を前に出し【光の円輪】をまるで砲台の発射口のように宙に浮かせると、その中でルキフグスが両の掌を合わせ巨大な炎を塊を生成させていく。
『究極殲滅炎術……ラグナ・ブレイズ!!』
ゴオオオオオオオオッ!!!
それは“赤い竜”の放った巨大ブレスを彷彿とさせる……いや、それ以上の奔流を見せた殲滅級の砲撃術式。その砲撃の大きさに加えて“ネメシスガンド”によって追い詰められていた植村は、すぐに回避が間に合わないことを察した。かといって、光の盾を展開して防ぎ切れるレベルの威力でもない。
「
それは残しておいた最強の光刃。他の六つの光刃に比べると大剣クラスの大きさを持つ黄色の光刃は、七星剣術最強の“
ドンッ!!
しかし、その砲撃を完全に止めることはできず、激しい炎に呑みこまれてしまう“
「
好機と見たのか続けざまに放っていくのは、必殺剣による直接斬撃。“
そうすることで見事に“
更に残っていた光刃が、何と植村の背中に突き刺さる。それは“
「……
植村のもとに飛来した“ネメシスガンド”四基が一瞬のもとに斬り伏せられる。神速の八連撃を発動させ最初の四撃をもって厄介な防衛術式を排除、一気に本体であるルキフグスへ残りの四撃を残して迫っていった。
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