戦利品
「とか言いつつ、俺の後ろに隠れるなよ!」
「こっちは、頭脳労働専門だ。隣の奴も、ただの武器屋だぞ?お前がやらずに、誰がやる!?」
「コイツは……あ〜、もう!わかったよ!!」
【虚飾】が、【近接戦闘(刀剣)】rank100に代わりました
俺は会話の途中で手にした日本刀を振るうと、セーレに向かって七星剣術・一つ星“
すると、セーレは動揺することなく目の前の何もない空間に手を伸ばすと、彼の腕先が見えなくなった。まるで、何かに手を突っ込んでいるかのようだ。
そしてその中から手を引き抜くと、クロスボウらしき機械兵器が腕に装着されていた。
事前に敵の情報を【鑑定】していた俺は、すぐにそれが『アイテムボックス』であることを察知する。
そこへ着弾する俺の“
あれは、朝日奈さんのドローンに似てる。
やはり、あの『アイテムボックス』には奴の兵器が収納されているのか?
「さぁ、踊れ……グシスナウタル!!」
セーレが余裕の笑みを浮かべながら言葉を発すると、三機のドローンは一転して我々の方へ襲いかかってきた。
「いけ!俺のウォーハンマー!!」
負けじと叫んで、自分のハンマーを投げ込んだのはコースケだった。自動追尾性能を誇る彼の武器は三機あるうちの一機にロックオンして飛んでいったものの、そのドローンは華麗な
光線も撃てるとは、いよいよ朝日奈さんの『デルタワスプ』にそっくりだ。しかし、敵のドローンの方が性能としては数段上に感じる。
ギィン!!
残り二機も迫ってきて、同時に俺へと光線を放ってきた。一発目は自動で回避し、二発目は持っていた刀剣で防ぐ。何とか凌いだものの、その衝撃に刀身は削られ危うく折れてしまうところだった。
そうだ。今、俺が持っているのは
いつもの癖で防御してしまっては耐久が保たない。
一方、コースケは自慢の武器を撃墜されて軽いショックを見せていて、レイジが
「そんな、俺のウォーハンマーが……あんなに、あっさりと」
「落ち込んでる場合か!せめて、できることをやれ!!」
「武器もないのに、どうしろっつーんだよ!俺に出来ることなんて……はっ!!」
何かに気付いた様子の式守の姿を見て、「ようやく、気付いたか」とばかりに三浦はニヤッと笑った。
「くっ!」
ついには戦線復帰した三機目まで加わり、植村が集中砲火を浴びせられている。その全てを自動回避を使って避けていくが、徐々にスタミナは削られていった。
そんな様子を、真剣な眼差しで見つめていたのは“式守コースケ”だった。
「俺に出来ることは、せいぜい武器を鑑定することぐらいだ……やれることを、やってやる!」
ユニークスキル【鍛冶屋】によって、武器に関しての【鑑定】だけは詳細な情報を看破することができた彼は瞬時に敵の機動兵器のデータを引き出す。
グシスナウタル
レベル4の秘宝。三機の自律型機動弓兵「フラウグ」「フィーヴァ」「フレムサ」の総称。
突撃・射撃・防御・分析など、その用途は多岐に渡り、
オートモードでの運行が可能で、その時は「フラウグ」が全機の動きを統制している。
「おいおい。あれは、
「何!?秘宝を操る悪魔など、聞いたことがないぞ?しかも、レベル4ということはこのダンジョンのお宝というわけでもなさそうだ……と、いうことは」
「と、いうことは?」
「誰かから、奪った。きっと、アレは奴らに敗れた冒険者の所持品だったモノなんじゃないか?」
「そうか……だから、あの注意書きか!なら、俺たちの武器も奪われちまうってことかよ!?アイツに、負けたら!!」
「確証はないが、おそらくな」
三浦の予測は当たっていた。
セーレの特性『勝者の証明』。
このダンジョン内でセーレ及びその
そんな中、植村は二人に向かって叫ぶ。
「そんなことより、
「あ〜、いや。すまん!俺が分かるのは、あくまで武器のステータスだけだから……弱点とかまでは、はは」
「ええっ!?くっ、こうなったら……ゴリ押すしかないか!七星剣術・二つ星、“
ドオオオン!!
地面に強く刀を突き刺し、爆風を引き起こす。
しかしその瞬間、三機のドローンは一斉に距離を取り避難行動することによって無傷で済んでいた。
危険察知能力まであるのか?相当に優秀な人工知能を積んでるようだ。こうなってくると、いよいよ破壊する手段が少なくなってきたぞ。一体、どうすれば良い……考えろ!
そんな様子を浮遊しながら撮影していた朝日奈のドローンがフワフワと式守の近くに寄っていくと、そこから音声が流れ始める。
それは、“朝日奈レイ”の声だった。
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