大公
青の扉をくぐると、そこは宮殿の中のようだった。とはいえ、フロアには最低限のインテリアのみしかあらず、ただ何もない空間が広がってるだけであった。まるで、戦う為だけに用意されたステージであるかのように。
その時、俺の耳元で機械音が聞こえる。
「おい、ユウト。何か、ついてきてるぞ」
「うおっ!これ……朝日奈さんのドローンか?」
コースケに指摘されて横を見ると、見覚えのある球体の機械が一機だけ浮遊していた。何やら、カメラのようなレンズが映像を記録しているようだ。
そこから、雪鐘さんの音声が聞こえてくる。
「すみません。そっちの様子も配信に載せたいので、朝日奈さんのドローンを一体だけカメラモードで同行させてもらってます!私のカメラの映像との切り替えは、こっちで上手くやっとくんで」
「ああ……なるほど。そういうことか」
ドローン一機分の戦力が削がれるのは大丈夫なのかな?まぁ、向こうは人数も多いし平気か。
しかし、さすがは配信者。ちゃんと、こういう時の為に朝日奈さんと打ち合わせしてたってことなのだろう。そこへ三浦が話に割って入り、ドローン越しに声を掛けた。
「ちなみに、そっちの様子はどんな感じだ?」
「こっちは、何もない広いフロアがあって……周りには、特に変わった様子もない。かな」
「こっちと同じか。ここから、探索しなきゃいけないのか?それとも、待ってれば何かが始まるのか」
三浦の予想は、後者が正解だった。
突如として、俺たちの目の前に玉座が出現すると、そこに白いタキシードを着用した金髪の美形男子が腰を下ろした姿で現れたのだ。
大学生ぐらいの容姿ではあるが、耳が人間のそれとは違って大きく鋭く尖っていたのが、彼が人外であることを証明せしめていた。
「ようこそ、お
急に喋り出した男に、コースケは驚きの反応を見せた。秘宝の番人であろう存在が、急に俺たちと同じ言語を操り始めたからだ。
「あいつ、悪魔だよな!?しゃべれるのか?」
「会話の出来る悪魔を見るのは、初めてかな?大公級以上の上位種には、創造主より高度な知能が与えられているんだよ。もちろん、中には思考を捨てられた怪物のようなものもいるが……」
確か、王級のザガンも会話することが出来ていた。
こいつの場合はザガンよりも流暢に話しているところをみると、言ってた通り知能差は個体によって千差万別なのだろう。
この番人の見た目なら、まるで人間と遜色が無い。
びっくりしつつも、コースケは彼に質問を投げかけた。
「あんた達は何なんだ?何の為に、生まれてきたんだ!?こんなところでッ」
「逆に、聞こう。キミたちは、何の為に生まれてきたんだ?それを、正確に答えられる者はいるのか?」
「うっ……そ、それは」
「同じさ、生まれた理由など知らない。ただ、ここでしか生きられないから守っているだけだ。侵略者たるキミたちから、この家を……ね」
侵略者……言われてみれば、向こうからしたら俺たちは強盗みたいなものかもしれない。
現れたゲートに勝手に侵入して、お宝を奪い去ってしまうのだから。
俺とコースケが後ろめたい気持ちになっていると、レイジが冷静に反論する。
「被害者ヅラは、やめろ。ゲートブレイクして現実世界に進出してきた悪魔が、何人の人間を殺した?やらなければやられる……俺たちも自分たちの家を守っているだけだ」
「そうか、知能を持たぬ悪魔は破壊衝動のみで生きているからな。キミたちも、私たちと同じというわけか」
「そういうことだ」
「互いの家を守る為ならば、争いは避けては通れぬか……悲しいな」
「そうか?俺は、ちっとも悲しくない」
パンッ!と、まるで躊躇なく三浦は持っていたハンドガンを一発彼に向けて撃ち込んだ。
その銃弾は真っ直ぐに玉座へと飛んでいくと、バリアのような障壁に阻まれて敵には届かなかった。
「はっはっは!ここまで、好戦的な人間は初めてだよ。だが、残念。私と戦うには、私の
「
「そう。そして、
玉座の肘掛けに肘をつきながら、彼はパチンと指を鳴らす。そうすると、俺たちの床が
そもそも、ここが二階であるということもそこで認識することとなる。
そして、一階にいたのは赤の扉に進んだ女性陣の姿であった。
何かが始まりそうなのを察知して、俺は慌てて敵の情報を得ようと考える。
【虚飾】が、【鑑定】rank100に代わりました
セーレ
人型・大公級クリーチャー
身体能力 A+
精神耐性 A+
【特性】
魔界式兵術
強者の証明
勝者の証明
高位召喚術
アイテムボックス
「やっぱり、あいつが秘宝の番人だ……大公級!」
俺の言葉に、歩く
「
LV:5 黄金のダンジョン
ミッション
60分以内に秘宝の番人および、その
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