集いし者たち・1

 かくして、次の日から俺とアスカによる勧誘が始まった。レベル5のダンジョンというのは、なかなか経験できないということで思った以上に全員が快諾してくれて、すぐに必要人員を確保することが出来た。さすがは、冒険者の卵たちだ。


 そして、週末の日曜。とあるアミューズメント施設に参加者全員を集めて、決起集会を開くこととなった。それぞれ面識のあるメンバーを集めたつもりだが、中には初対面の人たちもいるだろう。たった一日で仲を深められるかどうかは置いておき、当日になって顔合わせさせられるよりは団結力も深まると思ったわけだ。




「えっと……本日は、皆さん。お忙しい中、お集まりいただき誠に感謝いたします」



「堅苦しいわ!社会人の集まりじゃないんだぞ」




 親睦を深める為のボウリング大会を開くにあたって、レーン手前にあるボウラーズ・ベンチに腰を掛けた13人の見習い冒険者たち。

 一応はギルドマスターということになってる俺が始まりの挨拶を始めると、隣に座っていた悪友・三浦につっこまれてしまう。

 そもそも、こういう大勢の集まりに慣れてないのに幹事のようなことが出来ようはずもない。


 仕方ないといった感じで、アスカが司会進行を代わってくれた。




「ここにいる13人で来週の日曜、レベル5ダンジョンに挑むことになりました。まずは、それぞれの自己紹介から始めましょうか。それじゃ、『アルゴナウタイ』の正規メンバーから順番に……ギルマス、トップバッターよろしく」



「あ、はいっ!!」




 隣から「どっちが、ギルマスか分からんな」と呟く声が聞こえたが、無視して自己紹介を始める。




 1人目・植村ユウト

 一年ロークラスA所属・男

 ポジション(バーサトル)必殺型フィニッシャー

 得意スキル

【近接戦闘(格闘)】雷神八極拳

【近接戦闘(刀剣)】七星剣術

 ユニークスキル【虚飾】※非公開

 装備

(光剣クラウ・ソラス)故障中

(マナ・ブラスター)


「一応、ギルドマスターってことになってますが、俺もレベル5のダンジョンに挑むのは初めてなので、皆さんの力を借りて何とか攻略できたらと思っています!よろしくお願いします!!」




 2人目・七海アスカ

 一年ハイクラスA所属・女

 ポジション(バーサトル)殲滅型ヴァンガード

 得意スキル

【近接戦闘(格闘)】風神八卦掌

【射撃(拳銃)】

 ユニークスキル【七変化】

 装備

(マルチウェポン)


「『アルゴナウタイ』サブマスターです。一応、レベル5の攻略経験はあるので分からないことがあったら、何でも聞いてください」




 3人目・月森ヒカル

 一年ロークラスA所属・女

 ポジション(スイーパー)遊撃型ストライカー

 得意スキル

【手さばき】

【芸術(新体操)】

 ユニークスキル【適合者アデプタ

 装備

(ガチャコッコG)

 ※インベントリ内にあるガチャ武器すべて


「皆さんに比べたら、ダンジョンに潜った経験は少ないかもしれません。今回は、足を引っ張らないように頑張りたいと思います」




 4人目・上泉マコト

 一年ロークラスA所属・女

 ポジション(スイーパー)殲滅型ヴァンガード

 得意スキル

【回避】

【近接戦闘(刀剣)】新陰流・七星剣術

 ユニークスキル【剣聖】

 装備

(妖刀エペタム)

応答丸アンサラー


「『アルゴナウタイ』の初陣を、勝利で飾れるよう……僕の剣術が少しでもお役に立てたら、嬉しいです。はい」




 5人目・神坂ナオ

 一年ロークラスA所属・女

 ポジション(ランナー)

 得意スキル

【跳躍】

【芸術(トリッキング)】

 ユニークスキル【韋駄天】

 装備

(スレイプニル・ブーツ)


「ランナーというポジションが、どれぐらい役に立てるかは分かりませんけど。多少の戦闘なら、出来るので!上手く立ち回れたら良いなって、感じです」




 6人目・龍宝サクラ

 一年ロークラスA所属・女

 ポジション(サポーター)防衛型ガーディアン

 得意スキル

【応急手当】

【精神分析】

 ユニークスキル【聖女】奇跡の光

 装備

(カドゥケウスの杖)


「えと、その……一生懸命、がんばります!回復できるので、サポートは任せてくださいっ!!」




 7人目・雪鐘ミク

 一年ロークラスB所属・女

 ポジション(ストリーマー)

 得意スキル

【目星】

【隠密】

 ユニークスキル【写真術】

 装備

 なし


「今回、私は最後方で皆さんの攻略の様子をライブ配信させていただきます。なんで、事前に撮影NGだって人がいたら後で言ってください。あっ、個人のSNSを持ってる方は宣伝もお忘れなく〜!」




 とりあえず、『アルゴナウタイ』正規メンバーの自己紹介が一通り終了した。

 アスカが一つ、会話のクッションを挟む。




「ここからが、今回の助っ人枠。一応『アルゴナウタイ』候補生ってことになってるんで、今回の攻略を経験して入っても良いよ〜ってなったら、その場で入団を許可しちゃうんで。そこんとこ、よろしく!」



「随分と軽いギルドだな。大丈夫か?」



「とりあえず、10人は集めないと正式に発足も出来ないからね〜。それまでは、来るもの拒まずのサービス期間ってことで。いずれは入団困難なトップギルドになる予定だから、買い時ですよ?皆さん」




 三浦の皮肉にも臆することなく、謎の自信を持って答えるアスカ。本当に、彼女の方がギルドマスター向きだと思う。今から、変えてくれないものか。

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