破壊光線
更に邪神が触手の盾を解くと、口の中に光の粒子が集まっているのが見えた。
その瞬間、すぐに植村は【鑑定】で得た敵の特性と結びつける。
あれは、破壊光線の予備動作であると。
カッ!!
小さな触手が無数に生えた口の中から放たれる一条の光線は、植村に目掛けて飛んでいったものの見事に回避されて、彼の後方に広がっていたアリーナの客席を縦一文字に融解していく。
発射されてからのスピードが速い!
敵の攻撃を予測できていなかったら、【回避】の恩恵を受けても躱しきれてたかどうか。
そんなことを考えている間にも、第二射の充填を始めていた邪神は、すぐさま二発目のレーザーを放出してきた。
カッ!!
【回避】に集中することで、何とか次なる破壊光線も避けることに成功した植村だったが、まともに喰らえば一撃で戦闘不能に陥るレベルの威力。
しかも、ここは現実世界。当然のことながら、死んだら生き返ることは出来ない。
何とか【精神分析】を【虚飾】に代替させて、心の内の動揺を落ち着かせる。恐怖という感情は、大きく人間の判断能力や身体能力を鈍らせてしまう。
低い高さの一本橋なら走ってでも渡れるはずが、高度何千メートルという高さになると同じ一本橋でも上手く歩くことさえ困難になってしまう……ようなものだ。
まずは、自分自身の恐怖を払拭しなければ、従来のパフォーマンスを発揮することもできない。
「七星剣術・一つ星……
このまま撃たれても回避することは出来そうだったが自分が当たる前に、このままでは建物が先に崩壊してしまいかねない。
続けざまの光線が放たれるより先に、植村が“
しかし、破壊光線と同時に行うことは出来ないようで、防御してる間はレーザーの
「植村くん!ごめん……もうちょっとだけ、時間を稼いで!!」
「……了解!!」
何やら、『ガチャコッコG』を操作していた月森の姿を見て、すぐに植村は彼女が邪神を一撃で消滅させられるほどのフィニッシュ武器を準備していることを察知して、数秒で相手の意思を汲み取った。
そして始まる植村の“
一方、月森は神坂から受け取ったガマ口から、今度は貴重な自分の硬貨を
「お願い!良い武器、きて……カード、ドロー!!」
彼女が決意して引いた一枚には、真っ赤なフラフープのようなイラストと、以下の
イグナイト・フープ
等級:スーパースペシャルレア(SSR)
腰に装着する補助系武器。他の武器の潜在能力を一戦闘中に一度だけ引き出し、強力なオーバードライブ技を発動させることができる。
ただし、オーバードライブさせた武器は、技直後から一定時間、著しく性能が低下してしまう。
強そうなアイテムだけど、これだけじゃ使い道は無さそうか。引き直しするしか……ダメ、そんなことを言ってる時間は無い!
既に、植村の後方は何本ものレーザーによる亀裂が入って、ボロボロの様子だった。
良い武器が出るまで、ガチャを引いている余裕はない。
ならば、と。彼女は、『ガチャコッコG』のインベントリを開き、新機能を試してみることに決めた。
「合成」のテキストに、指で触れると……。
あなたが現在所持しているダンジョンポイントは、“8200DP”です。
只今、合成できる一覧全てを表示しますか?
ダンジョンポイントとは、その名の通り、ダンジョンに入ったり、中で活躍することで貯まっていく経験値のようなものだったが、その存在を知らなかった月森は不思議に思いながらも、今度は「はい」のテキストをタッチする。
元々、ガチャでストックしてあった武器が少ないせいもあってか、表示された合成武器は数えられるほどしかなかった。
その中で、月森は一番の攻撃力を秘めていそうな一つをチョイスして、合成を開始した。
『ウィンド・バトン』
『アルテミスの弓矢』
以上の二つを合成します(消費…4000DP)
残り…4200DP
月森はダンジョンに潜った経験こそ少なくはあったものの、秘宝の番人にフィニッシュを飾ったりなど要所で活躍していたこともあり、思った以上にダンジョンポイントが貯まっていた。
空中で二つのカードが合わさると、一つとなって新たなカードが生み出される。
アルベリヒ・クラブ
等級:スーパースペシャルレア(SSR)
殴打することで、強烈な衝撃を発生させる一対の棍棒。その衝撃はあらゆる装甲を貫通させて敵に直接的なダメージを与える。また巨大な武器などに対しても軽々とパリィが可能など汎用性は高い。
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