契約の儀・1
「契約の儀」当日
時間は、あっという間に過ぎ、俺たちは「契約の儀」当日を迎えていた。
この日の為に、ハードな訓練を積んできたとはいえ、これだけの短期間では、いくら天才肌のマコトといえど劇的な変化を遂げたわけではない。
新武器である“
『この辺で、良いじゃろう。ワシを鞘から抜いて、地面に突き刺せ』
長い眠りから目を覚ました
言われた通り、マコトが刃を砂浜に突き立てる。
『開け……我が領域、試練の門!』
そう、それはまるでダンジョンの入口のような。
「これ、は……」
『マコト。“契約の儀”は、この中で行われる。そこで待っておるワシの写し身と戦って、勝つことが出来れば、晴れて真の契約は結ばれるのじゃ』
「ダンジョンの中……なの?」
『左様じゃ。この中での傷や死は、ダンジョンと同じようにリセットさせる。心置きなく、全身全霊をぶつけてくるがいい』
ふ〜っと息を吐いてから、マコトは決意を固めたように腰元に『
残された俺はどうしたらいいか、挙動不審になっていると、
『おぬしも、中に入ってよいぞ。もちろん、少しでも手出しをしようものなら契約は失敗となる、が。本来、見学などは認めぬのじゃが、マコトが色々と世話になったようじゃからな。特別に、見守るだけというなら許可してやろう』
「あ……はい!ありがとうございます!!」
許しを貰って、すぐに俺はマコトの後を追って“紫のゲート”をくぐった。結果が出るまで外で待ってるのは、さすがに心臓がもちそうになかったので、ありがたい。
ダンジョンの中に入ると、そこに広がっていたのは時代劇で見るような奉行所の中を彷彿とさせる、足元に砂利の敷き詰められた広場。
そして、立っていたのは長い白髪と髭を棚引かせた、細くありながら引き締まった筋肉を持つ老剣士。その手に握られていたのは、妖刀エペタムだった。
LV:? 紫の隠しダンジョン
特殊ミッション
30分以内に単独で、地獄の騎士を撃破せよ
ミッションが表示された!?
ここは、仕様もダンジョンと同じなのか?
マコトが恐る恐る武器に手を掛けながら、無言で立つ老人に話しかけた。
「地獄の騎士って……あなたのことですか?」
「左様……ワシが、地獄の騎士。そして、妖刀エペタムの化身なり」
「……!」
「我が真名は、72柱の番人……唯一の騎士級を授かりし、選抜の悪魔・フルカス!」
その言葉に、俺とマコトは衝撃を受ける。
どういうことだ?エペタムは、秘宝の番人でもあったということか!?つまりは、隠しボス扱いの存在……だから、ダンジョンを生成できた?
【虚飾】が、【鑑定】rank100に代わりました
百聞は一見にしかず。手は出さないが、自分だけでステータスを確認するぐらいは、良いだろう。
フルカス
人型・騎士級クリーチャー
身体能力 AA
精神耐性 B
【特性】
伝承剣術
魔界槍術
呪詛無効
やはり、クリーチャーなのか。
しかも、ステータスが高い上に、特性も強力そうなものが揃ってる。これは、手強そうだ。
「準備は、良いか?マコト」
「う……うん!いつでも!!」
「ならば、これより……上泉マコトとの“契約の儀”を始める!地獄の騎士・フルカス、
名乗り口上と共に背中の槍を引き抜くと、それを勢いよくマコトに投擲するエペタム……もとい、フルカス。
「くっ!」
ギィン!!
咄嗟に、“
「まずは、小手調べじゃ!ついて来れるかの!?」
「七星剣術・四つ星!
様々なバリエーションの突きや斬り払いに、蹴りなどの格闘も混ぜながら仕掛けてくる連続攻撃を、強化された動体視力で、その全てをマコトが受け流していく。
「よいぞ、マコト!そうこなくてはな!!」
「七星剣術・一つ星!
猛攻の間隙を縫って、ちょこんとバックステップして射程を開けたマコトは、続けて五連続の衝撃波を敵に繰り出した。
それを見たフルカスは瞬時に槍の切先を地面に突き立てると、いよいよ妖刀エペタムを鞘から抜いて、武器を変更した。
「七星剣術・二つ星……
なんと、彼が放った技は紛れもなく七星剣術の一つ“
しかも、その“
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます