刺客・4
「でも、上手い具合に望む相手と戦えるかな?」
「多分、大丈夫だと思う。ツバサは、レディーファーストな性格だから、女子には甘いんだよ。私を、女子と見てるかは怪しいとこだけど……まぁ、うちら二人だけならユウトに攻撃を仕掛けてくると思う。これ、私の人読み」
「なるほど。さすが、クラスメイト」
「予想が外れた場合の対策も一応は用意しておくから、大丈夫。あとの二人は、
次に彼女が拡大した画像には、紫色の前髪が両目が隠れて見えなくなるほどの長さまで伸びた、かろうじて確認できる頰のそばかすが印象的な、影のある男子が写っていた。
「烏丸クロウ。銃器に精通した知識を持つ大のミリタリーマニアで、ユニークスキルは【狙撃】。その名の通り、長距離からの精密狙撃を得意とする生粋のシューター」
「あのフードを被ってた人か。こんな顔だったんだ……凄腕のスナイパーだったのは、覚えてる」
「多分、ツバサの
他人事のように、絶妙な腹の立つ表情で両の拳をグッと俺に見せてくるアスカ。エールのつもりなのか、煽っているのか……多分、後者っぽい気がする。
「なんで、確定なの!?牛久さんのバディかも、しれなくない?」
「それは、相性的な問題。ごっさん……牛久ダイゴは接近戦を得意としてるから、常に敵とは密着状態になるわけでしょ?」
「そうか。それだと、スナイパーが標的を絞りづらくなるのか」
「そういうこと。いくら腕の立つ狙撃手でも、絶えず動いている密着した敵味方を、正確に判別して攻撃するのはリスクが大きすぎる」
一角くんの相手だけでも骨が折れそうなのに、後方から精密狙撃まで襲ってくるのか……下手な秘宝の番人なんかより、よっぽど恐ろしいかもしれない。
「ツバサのパワードスーツなら中距離射撃の兵装も完備しているから、息を合わせての連携も取れやすい。しかも、フィールドが遮蔽物が少なく広大な場所だったりすると、弾の
「が……頑張ります。それで、最後の一人は?」
残った最後の画像には、青い長髪の聡明そうな男性の姿。まるで、少女漫画から飛び出してきたようなルックス。普通、男の長髪なんて不潔感が漂いがちなのだが、むしろ彼からは清潔感さえ感じる。
「鳴海ソーマ。ユニークスキルは【付与】。対象の様々な基本スキルを向上させる、典型的なサポーター。沈着冷静で頭の回転も早いから、よく部隊の指揮なんかを任されてる。軍師タイプって、感じ」
「牛久さんの身体能力とか向上させられたら、危険そうだね」
「そうなんだよ。ただでさえ、ごっさんは馬鹿力だってのに。ま……いざとなったら、やるしかないんだけど」
一転、憂鬱そうな表情に変わって、小さく溜め息を吐くアスカ。勝手知ったる相手と戦うのも嫌なんだろうけど、本当に面倒な相手なんだろうなぁという感じもした。どちらと戦うにも、手強いのは同じということだ。
「おやおや……お二人で、秘密の作戦会議ですかぁ?」
改めて敵の強さを実感し、二人して意気消沈しているところに現れたのは、水色のカチューシャに綺麗な黒髪を横流しにした美少女。首から、レトロな一眼レフカメラを掛けている。
写真部だろうか?この学園にも、そんな部活あったんだ。
いきなり現れた彼女の姿を、アスカは前から知っていたようで。
「あなた、確か……この間のレギオンレイドにも、いなかった?」
「えっ!気付いてくれてたんですか!?さすが、七海さん。嬉しいなぁ!!」
「
「まさか。私に、そんな実力はありませんよ〜!
バッと首の一眼レフを構えて、こちらを激写するジェスチャーをしてみせる彼女。
その仕草で、アスカはピンと来たようで。
「ああ!もしかして、“ストリーマー”として参加してたの!?」
「ご明察!自分で言うのもアレですけど、そこそこ有名な配信者をやってまして。その功績を買われて、『エクスプローラー』のストリーマーとして、期限付き契約を致しました。ご紹介が遅れて申し訳ない、ロークラスBの“
「雪鐘ミクって……もしかして、
「そんな噂になってました?一応、学園の宣伝も兼ねてってことで、学園長にも許可は取ってあるので。そこらへんは、ご了承を」
さすがは、
そんな配信があることすら、知らなかった。
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