空帝剣・ファルケモーゼ
くっ、キリがない!
次から次に飛んでくる念動武器弾を、一本ずつ
そんな中、背後から同じく武器弾が飛んでくると、敵の射撃を相殺していく。後ろを振り向くと、“
確か『サイズ・ビル』での戦いでも、見せていた戦法だ。
「ユウト!これで、近付けそう!?」
「う、うん!ありがとう、アスカ!!」
アスカの弾幕によって、再び敵との距離を詰めることに成功した植村は、移動中にスキルを切り替える。
【虚飾】が、【近接戦闘(格闘)】rank100に代わりました
槍が相手では不利な間合いとはなるが、利点もあった。
今までの戦闘から敵の大体の攻撃パターンを把握していた植村は、特殊攻撃の出所を瞬時に潰すことで、その全てをシャットアウトしていったのだ。
火の玉や、疫病バブルを吐き出されそうになると、下顎に掌底を打ち込む。
獣の脚力は
蜘蛛の糸や念動力を発動しようとすると、擒拿術 《きんなじゅつ》で指を穿ち、それを阻止する。
剣による斬撃では、およそ不可能な精密打撃によってキマリスの手札を全て完封しつつ時間を稼いでいると、耳元から天馬の声が響く。
「植村くん、よくやってくれた。こっちの準備は、整った……今すぐ、後退してくれ!」
「了解です!でも、なかなか……距離を作る隙が!!」
肉弾戦だけでも十分に強力だったキマリスの猛攻に、植村が離脱の隙を見出せないでいると、突如として敵の頭上に巨大な
「私が、時間を作ってあげる……その隙に、逃げなさい!フロスト・クラスター!!」
「え?ちょ、待っ……!」
あわや植村をも巻き込みそうな大きさの氷塊が、キマリスに向けて降ってくると、それと同時にキックボードを使って急接近してきたアスカが彼を連れ去り、その場から離脱を試みた。
それを逃すまいと、二人に対して蜘蛛の糸を放出するキマリス。だが、今度は“
“
「ありがとう……ってか、どうしたの?コレ!?」
「マルチウェポンを、変形させたの。凄いっしょ?」
「マルチウェポン……ああ、アレか!てっきり、武器にしか変えられないと思ってたけど」
「実は同じことを思ってたけど、やってみたら作れちゃった。私の認識では、これも立派な武器だからね……そういう意味だと、使用者の認知が影響してるのかも。ただ、バイクとか車とか複雑な機構の乗り物は無理っぽかったけど」
そんな会話を交わしていると、こちらに気を取られていたキマリスにモモカの放った氷塊が激突した。上手い具合に、俺たちの逃亡が気を引く行為に繋がったのかもしれない。
「よーし、やった!大命中!!」
「何が、大命中だ!危うく、ユウトも巻き込まれるところだったんだからね!?」
「うるさいなぁ!逃げれたんだから、いーじゃん!!七海アスカ!!!」
「そのフルネーム呼び、やめろ……ん?待って、モモカ!そこから、すぐに逃げて!!」
通話しながら、モモカといがみ合っていたアスカが、ふと潰されていたかと思われていたキマリスの様子を伺うと、氷塊を念動力で持ち上げ、直撃を回避していた。
しかも、その氷に方向性を持たせ、モモカに向かって狙いを定める。
「させるか!空帝剣……ファルケモーゼ!!」
それに気付いた“天馬カケル”も、オーラを最大限まで溜めた“三種の奥義”の一つを開放する。
彼の背中から、鳥のようなオーラの両翼が生えると、上段の構えから『聖剣エクスカリバー』を振り下ろした。
そこから生じた見えない斬撃は、大地を斬り裂きながら、キマリスに向かって襲いかかる。
敵も、その攻撃に危機を感じたのか、モモカの“フロスト・クラスター”の方向を変えて、衝撃波にぶつけるよう投げつけた。
ザンッ!!
だが、その巨大な氷柱は一瞬のうちに真っ二つにされ、脆くも崩れ去る。
勇者の放った斬撃は空を両断せんばかりの勢いで、そのままキマリスに着弾した。
ズバアッ!!!
強力な悪魔であるキマリスを、あっさりと斬り伏せてみせる空帝剣。
だが、消滅する直前に“バ・トイェ”の炎を全解放させると、まるで花火が暴発したかのように、巨大な火の粉が周囲へと降りかかっていった。
それは、まさにキマリスの自爆技ともいえる最後の抵抗であった。
天馬の放った空帝剣の威力は凄まじく、一撃で試合を決めてみせたが、まだ勝負は終わっていなかった。
「くっ!全員、緊急退避!!」
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