LV3「ダンジョン・アイランド」・24
「つまり、聞こえていた変な音の正体は、この島が発していたイビキということか。もし、委員長の推測が当たっているとすれば……その鼻孔を通っていけば、山の心臓部に辿り着けるんじゃないか?」
三浦が
委員長も、その考えには同意のようで。
「私も、そう考えてる。中に魔物がいると想定しても、山頂から侵入するより、安全かつ大人数で進んでいけると思う」
「まさか、魔物の体内に侵入することになるとはな。しかし……他にアテが無い以上、委員長の提案に乗っかるしかなさそうだ。反対意見のある者は?」
誰も手は挙げず、みんな賛成のようだ。
だが、霧隠くんが意見を挟む。
「聞いた感じじゃ、こちらも総力戦で挑まなけりゃならなそうだな。準備の時間は、必要だぞ?」
「そうだな。アテが外れていたとしても、リミット的にも食糧的にも最後のチャンスと考えた方が良いだろう。今日は一日、万全の態勢を整えて、明日……全員で、ラストアタックをかける」
「よし、決まりだな。んじゃ、早速……俺は、明日の準備に取り掛かるとするか」
霧隠くんは、先にミーティングを抜けて、どこかへと行ってしまう。相変わらず掴めない人だが、今回は協力的なようだし、信用しても平気だろう。
「他の生徒たちには、俺から伝えておく。お前たちも、今日は体を休ませろ。明日に備えて、な。今日のミーティングは終了だ、解散!」
散り散りになっていく生徒たち。全貌が明らかになりつつある島だが、難攻不落のダンジョンだ。俺も、万全の準備をしなければならない。
まずは、イップスを克服するのが最優先か。
「えいっ!えいっ!!」
何やら、残った朝日奈さんが地面を蹴りつけている。ストレスでも溜まってるのだろうか?
「何、やってるの?」
「え?だって、この島自体が“秘宝の番人”って言ってたから……こうすれば、ダメージが入るのかなって」
「入ってたとしても、微々たるものだと思うけどね……はは」
でも、そう考えたら恐ろしい。ずっと敵の上で生活していたってことだもんな。島自体が動いて攻撃とかされたら、ひとたまりもないだろう。
さすがに、この大きさでは、それは無いと思いたい。
「レイ!こっち、おいでー!!」
海側の方から、朝日奈さんを呼ぶ声がする。神坂さんの声だった。
「どうしたんだろ?行ってみよ!ユウト!!」
「え!?俺は、呼ばれてな……ちょちょちょ!」
目が合うと、俺の手を強引に引っ張って、一緒に声のした方へと走り出して行く朝日奈さん。
無人島でも、元気な人だなぁ。ホントに。
浜辺に出ると、そこにあったのは桃源郷……もとい、水着で海水浴を楽しむ女子たちの姿があった。
「うわっ!植村くんも一緒だったの!?驚かせないでよ」
いつの間にか、スポーティーな水着に着替えていた神坂さんが、俺のことを見て驚いている。
露出度は低いといえど、友達の水着姿というものは、やはり恥ずかしいものだ。俺は、なるべく視線を逸らしながら、彼女に尋ねた。
「びっくりしたのは、こっちだけどね。どうしたの?みんなして」
「ん〜、リフレッシュ?ほら!ここ数日、まともにお風呂も入れてなかったし。
「水着とか、持ってきてたんだ?」
「聖先生から、海がある場所だって聞いてたから。一応、持って行こうって話になったんだよね。女子グループで。まさか、ダンジョンの中だとは思ってなかったけど」
そんなダンジョンでも海水浴を楽しむ度胸は、さすがは冒険者の卵たちと言うべきか。俺としては、良い目の保養となったので良いんだけど。
「まぁ、それでリフレッシュできるなら、良いと思うけど。一応、海の中にも魔物がいるかもしれないから、十分に気を付け……」
「きゃあああああっ!!!」
俺が忠告したそばから、海の方で悲鳴が聞こえる。
慌てて、顔を見合わせた俺たちが声のしたほうへ走り出すと、複数の女子たちが海から出た触手に掴まれていた。その中には、白い水着を着た月森さんの姿もあった。さっきの悲鳴は、彼女のものだろう。
「ヒカル!」
「何だ、アレ……いや、そんなことより、早く助けないと!行こう、神坂さん!!」
「うん!」
神坂さんと謎の触手に向かって走り出すと、後ろから高速の飛行物体が三機、俺たちを追い抜かして敵の触手へと突撃していく。
あれは、朝日奈さんのドローン『デルタ・ワスプ』だ。しかし、形状が見覚えのある型から進化しているような気がする。
「いけー!デルタワスプ・スコグルカスタム!!」
後ろにいた朝日奈さんの叫びで、ようやく気付く。
そうだ、あの姿は黄河団長の錬金兵装“
なるほど。俺が『マナ・ブラスター』を貰ったように、朝日奈さんも報酬として自身のドローンを強化させてもらっていたのか?
機体の先端から
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