LV3「ダンジョン・アイランド」・12
「ウマイ!久しぶりに、味のある食べ物を食べまシタ!!あなたたちは、私の命の恩人デース!!!」
「お、大袈裟ですって!それぐらいじゃ、お腹は膨れないんじゃないですか?」
「ノンノン!これで、まともに動けるぐらいのエネルギーは補給できまシタ!!感謝、感謝デース!!!」
委員長の手を、両手でガッシリと握ってブンブンと振りながら、感謝の気持ちを伝える謎の外国人。
やたらとテンションが高いが、露わになっていた両腕は丸太のように太く筋肉質だった。やはり、冒険者なのだろうか?
「とにかく、まずは安全なところへ!ここから、離れ……」
俺が、そう言いかけると、後ろからザッザッと地面を踏みしてる足音が響く。まさかと思い振り向くと、口から先ほどのビーフジャーキーを咥えたハイオークが戻ってきていた。
思っていたほどの時間は、稼げなかったか。
まずは、二人を先に避難させよう。俺が牽制しつつ戦って、その隙に逃げてもらうのが良いだろう。
再び
「今のユーでは、アイツには勝てないでショウ。私が、やりマース」
「や、やるったって……そんな石槍一本で、本当に倒せるんですか!?」
「まあ、黙って見てラッシャイ。このスットコドッコイ」
「え?」
日本語の使い方がメチャクチャだ。カタコトだし!そもそも、今の時代は自動翻訳アプリがあるんだから、母国語で話してくれればいいのに。
全てのチップを埋め込まれた人間に、初期アプリとして搭載されている“自動翻訳アプリ”は、その名の通り世界の主要な国の言語を自動で翻訳してくれる便利なアプリである。
俺の場合で例を出すと、外国語で話されると相手の声質で自動で日本語に聞こえてくれると言う代物。逆に相手にもアプリがインストールされていれば、こちらの声で向こうの母国語に聞こえてくれるというわけだ。
これの登場により、日本のグローバル化は加速度的に成長したようである。通訳や外国語教師の仕事は減っていってしまったようだが。
そんなことを考えていると、向こうもエネルギーを補給して戦意が高揚していたのか、ギャンギャンと両手の斧同士をぶつけ合わせて威嚇を始めると、急に俺たちの方へと突進を始める。
「ゴートゥヘル!ピッグマン!!」
すると、その突進に合わせるようにして、外国人の戦士が槍を前に突き出しながら突撃していった。
物凄い推進力、まるで“人間弾丸”のように。
その一刺しはカウンターでハイオークの土手っ腹に突き刺さると、そのまま巨木に叩きつけ、あっさりと息の根を止めたのだった。
消滅していく
「何で、消えてしまうんデスか!焼いて食えると思ったのに……だから私は、クリーチャーが嫌いなんデース!!」
確かに、見た目はブタだったけどさぁ……
そういう問題じゃないか、うん。
「てか……凄いですね。あんな武器で、ハイオークを一撃で仕留めるなんて」
「ハッハッハー!見ましたカ!?私のユニークスキル【突撃】の威力を!!」
大きく胸を張って、高笑いを浮かべる外国人男性。あっさりと自分のユニークスキルを、バラしたな。
【突撃】か……その名の通りならば、突進系の攻撃に
ギュルルルルルル
すると、急に彼の腹から巨大な音が響き渡る。
「オ〜、シット!さっき補給したエネルギーを、全て消費してしまいまシタ!!また、腹が……」
「あの……私たちの拠点に戻れば、昨夜の夕飯の残りが余ってますけど。食べに来ますか?」
「なんと!一度ならず二度までも、私の命を救って下さる!?アナタは、私の女神デース!!」
「ちょちょちょ……!!」
熱烈なハグをして、委員長に頰を擦り付ける彼。
日本人がやってたら、明らかなセクハラ行為だろう。外国のスキンシップということで、セーフか。
ともかく、まずは聞いておかなければならない。
「その前に!あなたの素性について、教えて下さい。一応、怪しい人物じゃないことを証明してもらわないと、連れてはいけません」
「そういえば、自己紹介がまだでしたネ。私の名前は、アレックス・マクレーン・ジュニアでーす」
「アレックスさん……ご職業は?」
「フリーランスの冒険者をやってマース!ただ、身分を証明できるものを持ち合わせていませんカラ……どうやって、信じてもらいましょう?困りマシタ!!」
身分証明ね……久々に、使ってみるか。
【虚飾】が、【鑑定】rank100に代わりました
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アレックス・マクレーンJr.
28歳(男)アメリカ出身
フリーランス B級冒険者
身体能力 B+
スキル
【サバイバル】rank80
【近接戦闘(槍)】rank70
【水泳】rank55
【制作(料理)】rank42
【自然】rank41
【他の言語(日本語)】rank40
ユニークスキル【突撃】rank ー
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