林間学校・3
目的地に到着し、バスから降りた俺たちが
そこを更に進んで行くと、何名かの職員と思われる人々と共に
「学園長。ロークラスA、欠席者はなく全員到着しました」
「引率ご苦労様でした、聖先生。ここからは、私が説明しましょう」
聖先生と一言二言、会話を交わして、学園長が俺たちの前に歩み寄ってくる。こうして、ちゃんと姿を拝むのは入学式以来だろうか。
しかし、気になるのは彼女の後ろにあった光の扉。緑色のゲート……おそらくは、レベル3・ダンジョンへの入口だろう。
「皆さん、おはようございます。今から、林間学校の詳しい内容について、説明したいと思います」
眼帯と役職が相まって、異様な威圧感を放つ学園長に、普段は野次の多いローAの生徒たちも、黙って話を聞く体勢となる。
「お気付きでしょうが、これから皆さんには私の後ろに見えている緑のゲートに入ってもらいます。あれは、レベル3のダンジョンなのですが……実は、ゲートブレイクを間近に控えた、危険指定のダンジョンなんです」
ゲートブレイク。俺も、学園に入ってから学んだことだが、出現したゲートは一定期間、攻略されないまま放置されると扉が破壊され、中から凶悪なクリーチャーたちが現実世界へと解き放たれてしまうらしい。
過去に何度か“ゲートブレイク”が起きたことがあるらしく、少なくない死者も出しており、それを機にゲート探索はより力を入れられるようになったという。
当然ながら現実世界では、死んでも蘇生することが出来ない。冒険者も慎重に戦わざるを得なくなるし、一般人も巻き込まれる可能性だってある。
“ゲートブレイク”は必ず阻止しなければいけない事象だった。
「それと言うのも、今まで幾度となく冒険者たちが挑んできましたが、全て攻略失敗に終わってきたからなんです」
“ゲートブレイク”する可能性は、二つある。
一つは、人のいない僻地にゲートが出現して、誰にも発見されないまま一定期間を迎えてしまい、ブレイクしてしまうパターン。
一つは、そもそも何らかの理由で攻略が困難で、なすすべなく一定期間を迎えててしまい、ブレイクしてしまうパターン。
どうやら、今回は後者のパターンのようだ。
「しかし、いくつか中の情報は開示されています。まずは、エスケープミッションであること。そして、フィールドは一つの大きな島であること」
通常ならば、攻略失敗すれば記憶がなくされてしまうので、中の情報は共有できない。
ただ、今の時代では“ダンジョン内での記憶を保持する”ことのできるユニークスキルを持つ者たちも現れ始めて、
隣で聞いていた聖先生が、俺たちを代表して思ったことを学園長に尋ねてくれる。担任でも、詳細は知らされてなかったらしい。
「つまり、その島を脱出できれば攻略……と、いうことですか?」
「ええ。ですが、その脱出する条件が分からず、数々の冒険者たちがリタイアしてきました。きっと、何かしらの謎を解く必要があるのでしょうが……」
謎解き系の脱出ミッションか。だとすると、アンサーの存在が重要になりそうだが、数が希少なポジションだからな。
「そんなダンジョンを、無理を言って短期間だけ、私たち
一週間か。俺の経験上では長く感じるが、ダンジョンの中には一ヶ月以上の攻略を要するものも存在するらしい。
「一週間後には、『日本国調査団』からエスケープミッションの専門部隊が派遣されてきます。なので、攻略の期限を過ぎることは、許されません」
そこで、ようやく学級委員である“明智ハルカ”さんが勇気を出して、学園長に質問する。
「あの……一週間が経って、攻略することが出来なかったら。どうやって、
「それは……ダンジョン内で、自ら命を断つしかありません。怖いでしょうが、“死”に慣れるというのも、冒険者としては必要な経験です」
「自ら……命を」
それは、怖いよな。いくら、生き返るとは分かっていても、死んだ瞬間の痛みなどは感じるわけで。
なるべくなら、そうならないように攻略したいところだが、俺たちに出来るのだろうか?
「すでに、ミドルクラスの
委員長が先陣を切ったことで、話しやすくなったのか大人しく聞いていた山田くんも発言しだす。
「ハイクラスの連中は、参加しねーのかよ」
「ええ。さすがに、まだ経験値に差があると考えて、ハイクラスの皆さんは別メニューの林間学校を受けてもらっています。しかし、あなたたちにとってはミドルクラスの生徒たちでも十分に格上の存在となるでしょう。油断しないように」
「ちっ、つまんねー。てか、脱出するだけのミッションに武器とか、いるのかよ」
「もちろん。なぜなら、島の中には、多数のクリーチャーが徘徊している……との情報が、挙がってきていますので。探索する以上、戦闘は
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