空中戦艦(錬金工房)
ナビに従い、
目標に到着しました。ナビを終了します
部屋の奥には、頑丈そうで透明な筒状ガラスの中に、緑色のシリンダーケースが厳重に保管されているのが見えた。
「あれです!あれが、多分……ナノウイルスだと」
「本当に、完成していたの!?」
「分かりません。まだ、未完成の状態かもしれませんし……何にせよ、早く回収してしまいましょう」
俺の進言に、ライアン先生がコクリと頷くと、そのタイミングで、下の方から凄まじい爆発音と共に振動が襲いかかってくる。
ゴゴゴゴゴゴゴ………
「何!?この爆発音。もしかして……剣持さんに、何かあったんじゃ?」
「……かもしれない。けど、引き返しちゃダメよ?テン。アタシたちが出来ることは、アイリを信じて任務を遂行することだけ」
「う……うん。わかってるよ」
渋々と納得するテンを横目に、ライアン先生がウイルスの場所まで歩いていくと、保管ケースを守るように、床から一体のオートマタが出現した。
「……やっぱり、置いておくわよね。ここには」
先程の白い機体とは真逆である漆黒の
『俺の名は、ヒルド。この宝を守る者。主の
ジャキン!!
そう言うと、ヒルドは両腰に携帯していたゴツく黒光りした二丁の
危険を察知した俺は、瞬時に先生の膝裏を蹴り付けて、しゃがみ込ませると、その頭を飛び越えながら、
「
全ての射撃を、打ち返すことは不可能だ。真後ろにいられると、回避した流れ弾が先生に命中してしまうかもしれない。
俺が叫ぶと、すぐにライアンさんは距離を取って後退を始めてくれた。迅速な行動で非常に助かる。
『この俺のブラスターは、大気中のマナから無限にエネルギーを変換することが出来る。どこまで、耐え切れるかな?小僧!』
キンキンキンキンッ
両手の
その行動一つ一つに、いかに敵が好戦的な性格だというのかが、すぐに感じ取れた。
『良い
突如、華麗な回し蹴りを放ってきたヒルドを自動回避で見事に躱してみせる植村。しかし、敵は矢継ぎ早に、今度は超接近戦で
それは格闘術に射撃を組み込んだ“ガン・カタ”と呼ばれる戦闘技法であった。
至近距離で放たれる光線を剣で弾きつつ、敵の肉弾戦には自動回避で対処する。一般的な冒険者なら、とっくに詰んでいるような初見殺しの猛攻にも、植村は防戦には回りつつも、無傷で凌いでいた。
くっ!まるで、人間のような動きだ。
敵の射撃が無限だと言うなら、後手に回っていたら消耗してしまう。ただでさえ、そろそろ【近接戦闘(刀剣)】の限界時間は近付いているのだ。
こっちも、攻めなくては!!
ギンッ
そこで生まれる一瞬の隙を、植村も見逃さない。
「七星剣術・二つ星……“
ズドオッ!
直接、敵へと突き刺す
「七星剣術・一つ星……
ゴウッ!!
しかし、その追撃の衝撃波はヒルドの持つ
だが、それでいい。
あくまで、それはフィニッシュへと繋がる布石のコンボ。逆手に
「七星剣術・五つ星……
ズバアッ!!!
それは、植村ユウトが実戦において初めて成功させた単独コンボ。“巨門・改”〜“貪狼”〜“廉貞”による、三段攻撃であった。
その一太刀は敵の右腕を斬り落とすと、たまらずヒルドは足裏のブースターを噴射させて、後退していく。
しかし、更に驚くべきは、その僅かな間で斬り落とされた右腕の部分が、新たな腕へと
新しく出来た右手は、腕そのものが“スナイパーライフル”のような形状となっていた。
『インファイターか。それなら、こういうのは……どうだ!?』
ゆっくりと浮遊しながら、空中より精密狙撃を続けざまに敢行してくるヒルド。
植村も怯まず再び光剣を使って、狙い澄まされた一射一射を次々と弾いていく。
この数分間での目まぐるしい攻防に、ライアンはじめ、テンやナギも下手に身動きが取れず、見守っていることしか出来ずにいたが……。
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