空中戦艦(後部第三通路)

 ダンスするように『FANG』の刃を盾型タンクに当てて、破壊していくライアン先生。



 その間に、後方の兵士級から射出される光線銃レイガンは、スカーフを巻いた剣持さんが標的タゲを取ってくれて、集中砲火を浴びている。

 しかし、『アイギスメイル』の厚い装甲が、その全てのダメージをシャットアウトしていた。





【虚飾】が、【近接戦闘(刀剣)】rank100に代わりました




「七星剣術・一つ星…… 貪狼ドゥーべ!」




 自分も続けとばかりに、貪狼ドゥーべを放つが、盾型タンクのシールドに衝撃波が吸収されてしまう。やはり、飛び道具だと遮断されてしまうか……ならば!




「七星剣術・二つ星…… 巨門メラク!!」




 敵の足下に向けて、斜めに突きを放つ俺。

 妖刀に憑依されたマコトから学んだ自由な応用。

 すくい上げるように吹き飛ばせば、シールドは機能しなくなる。

 あとは、シールドの中まで踏み込んで、接近した距離で光剣クラウ・ソラスを振る。




 ズバッ!!




 よし、狙い通りに攻撃が通る!この調子で、盾型タンクを破壊していこう。


 そして、あらかた前衛を片付けた頃に待機していたテンとナギが動き出す。




「『インフィニティ・アロー』……セット」




 那須原ナギが天使の翼をかたどったような矢のない状態の弓を引き絞ると、驚いたことに彼女の周囲から宙に浮く矢が10本、出現した。




 レベル3の秘宝『インフィニティ・アロー』。


 その名の通り、無限に矢を生成する特殊な弓矢。

 しかも、その矢はわざわざ弓にセットする必要がなかった。からの弓を標的に向けて、撃つ動作を行うだけで宙の矢が勝手に、その場所へと射出されるのだ。その為、ほぼノータイムで最大10の連射が可能となる。





 ドドドドドドドドッ!!!




 そんな矢を次々と兵士級ポーンに命中させていく美しき射手。10発全てを撃ち尽くすと、再び宙の矢が10本、自動でリロードされる。弓を構えている限り、こうして無限に矢がセットされていくのだ。

 しかも、その一矢一矢がブーストしながら発射される強力な一閃として襲いかかる。


 そして、その間隙を縫うようにして今度はテンが高く宙を舞いながら、周囲に巻物を展開させる。




「ニンジャ・スクロール、展開!シノビ・アーツ……『風遁ウィンド・シーカー』!!」



 ブオオオオッ!!




 旋風つむじかぜを巻き起こし、後方の兵士級ポーンたちをズタズタに引き裂いていく。



 さすがは、『ヴァルキュリア』の最高戦力たる九戦姫の面々だ。みんなが一騎当千の強さを持っている、頼もしい。


 テンは見たが、やはりナギも強くなってるな。

 なんだ、あのトンデモ弓矢は?




「あらかた、片付いた……かな?」




 ズン!ズン!!




 敵の第一波を退けて、俺が安心していると、強烈な地響き音と共に、奥の方から第二波の軍勢が現れた。

 今度は、大足級ビッグフット猟犬級ハウンドの組み合わせだ。休む暇が無い。




「さぁ、みんな……第二ラウンド、行くわよ!」




 ダダダダダダダッ!!




 ライアン先生が鼓舞する中、今度は向こうから攻め込んできた。猟犬級ハウンドが群れをなして突っ込んでくる。四足歩行で素早い為、狙いが定めるのが大変そうだ。




 ザンッ




 飛びかかって来る機械の猟犬を回避しつつ、すれ違いざまに斬撃を加える。だが、絶えず次々とやって来るので応戦するのに必死だ。




「おいで!ワンちゃんたち!!」




 そう叫びながら、テンは自身の手首に緑のスカーフを巻きつける。すると、猟犬級ハウンドが一斉に彼女に向かって突撃を始めた。




「これが、本物のワンちゃんだったら幸せだったんだけど……機械なら、話は別!シノビ・アーツ、『影分身パラレル・シャドウ』!!」




 そして、目立つことで速くなる彼女のユニーク【不忍しのばず】が発動した。




「鳴り響け……雷光刀ヴァジュラ!!」




 ズバババババババッ!!!




 分身したテンが、向かってきた猟犬級ハウンド全てを迎撃して、一撃のもとに斬り伏せていく。

 その動きを小太刀から発生する雷鳴がなぞって、綺麗な軌跡を描いている。



 そんな彼女の勇姿に、俺が見惚みとれてしまっていると、剣持さんとライアン先生は既にビッグフットのバルカン砲を掻い潜りながら、足元まで駆け寄っていた。

 言われていた通り、片足に強烈な攻撃を加えて、バランスを崩していく。




 この通路にいる大足級は、あと三機だ。


 遅れて、自分も剣持さんたちのいる前線へと走っていくと、敵のバルカン砲が降り注いでくる。




 キンキンキンキン!!




 回避も混ぜつつ、光剣クラウ・ソラスで弾丸を防ぎながら最短距離で足元に迫っていく。


 光剣の刃は光線銃レイガンもバルカン砲も、弾き飛ばすことができる。もちろん、rank100の技術は必須だが、回避するよりもコチラの方が体力の消耗は抑えられた。



 そして、俺は剣の柄を逆手に持ち替えて、覚えたての新技を試してみることにする。





「七星剣術・五つ星……“廉貞アリオト!!」



 ズバアアアッ!!!




 Vの字に描いた一撃が、大足級ビッグフットの片足を斜めに寸断し、バランスを崩させる。

 初めての実戦使用にしては、上出来だろう。さすがの破壊力だ。

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