合同演習・1
蓮見さんのレッスンが終わり、午後は全員が集まっての合同演習があるようだ。
集合した部屋は、VR設備が置かれた大部屋だった。温泉や訓練施設まで、本当に充実している。さすがは、五大ギルドの一角である。
「へぇ。思ったより、ピンピンしてるじゃないか。アタシのレッスンが終わった直後は、死にそうな顔をしてたくせに。もう、回復したのかい?」
「えっ?あ、はい……まぁ。何とか、はは」
思ったより元気そうだった俺の姿を見て、蓮見さんが不思議そうに聞いてきた。小一時間の昼休憩はあったものの、とてもじゃないが回復できるような疲労ではなかった。
“
疲労を回復する七星剣術の技、これだけ動けるようになったということは、成功したと言っていいだろう。こうしたトレーニング疲れも取り除いてくれるとは、一日一回とはいえ便利な効果だ。
「皆さん、集まりましたね。これから行うのは、団長の持つ錬金兵装“
ここでも陣頭指揮を取る副団長の言葉に、蓮見さんが反応する。
「“
「はい、そうです。その小型ドローンは各機に高性能AIが搭載されており、基本的には操縦者が命令を下すだけで、あとは機械が独自で最適な行動を選択するという自律型マシーンとなっています」
「戦闘力は?」
「内部に
そう言いながら、何やら副団長が機械を操作し始めると、部屋の中に無数の機械の球体が出現した。
いや、正確に言えば、全て
「仮想“
「副だんちょー。もしかして、このシュミレーターを使って、
「ええ、その通りです。
「やりましょう!今度は、こっちの成長も見せてあげないと……ね」
そう言って、テンは俺の方を見ると、不敵に微笑んだ。そういえば、強くなったって自分で豪語してたからな。どれほどのものなのか、お手並み拝見といこうじゃないか。
「では……シュミレータ、起動!試しに三分間、逃げ延びてみてください」
副団長の忠告を真剣に聞きながら、テンは自身の両手の人差し指を合わせると、何かを小声で呟き始めた。
「ニンジャ・スクロール、展開!シノビ・アーツ……『
テンが叫ぶと、彼女の周囲に広げられた巻物のような映像が浮かび、次の瞬間……その身体が、何体もの姿に分裂、いや、分身した。
「分身の術……忍法なの、か!?」
「レベル3の
ナギの説明を聞き、ようやく理解した。
しかし、アプリ型の
それにしても、あんな大袈裟に術名を叫ばなくても。全く、忍者っぽくないぞ。
いや……違う!そうだった、忍頂寺テンのユニークスキル【
つまり、目立てば目立つほどに速くなる!
ズバババババババッ
気付いた瞬間には、百機近くのドローンが真っ二つに切り裂かれていた。もしかして、あの分身は攻撃も可能なのか?きっと、そうに違いない。
そうでなければ、いくら加速したところで、あれだけの機体を一瞬で討ち取ることなど不可能だ。
「また、つまらぬものを斬ってしまった……な〜んちゃって」
彼女が手にしていたのは黄金色の短刀。よく見ると、精巧な機械仕掛けで造られており、刃からはバチバチと目に見えるほどの電流が放出されていた。
それが、忍頂寺テンの第二の武器。かつて、優しかった頃の団長より授かった錬金兵装……『雷光刀ヴァジュラ』であった。
凄い……当たり前だけど、あの頃とは別人のように強くなってる。それもそうか、当時から既に大器の片鱗は現れていた。それが、開花しただけの話だろう。
『ヴァルキュリア』の最高戦力の一人と、なるほどまでに。
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