シナジー
「七星剣術・五つ星……“
ゴウッ!!
逆手で持った練習用の剣を、地面に叩きつけた反動で、宙を舞いながら斬り上げる。【近接戦闘(刀剣)】rank100を使用しているおかげもあるだろうが、二時間弱で大体の形にはなってきた。
俺が真っ二つにしたカカシを見て、アドバイスをくれながら見守っていた姐さんが言う。
「相変わらず、モノにするのが早いね〜。基本技をマスターしてたのも大きいだろうけど、もうちょい時間が掛かると思ってたんだけどな」
「良い感じですかね?」
「完璧とまでは、いかないけど……十分、実戦でも通用するレベルには到達してる。あとは、残りの数日で、どれだけ煮詰められるか?かな」
「はい!ありがとうございます」
よしよし、及第点は頂けたか。“
「と、ゆーか。そろそろ、疲れた頃じゃない?かれこれ、二時間ぐらいは打ち込み続けてたっしょ」
「えっ、ああ……言われてみれば、そうですね。少し、休憩します?」
「いいや。ここで、“第六の型”が出番となるわけ!教えてしんぜよう」
「えっ!?今、ぶっ続けで……ですか?」
打ち込みの練習は楽しいから、別に苦では無いんだけど、さすがに今の疲労感ではベストなパフォーマンスは出せそうにない。それとも、疲れてるような状態でしか出せないような技なのだろうか?
「七星剣術・六つ星、“
「回復技……ですか」
「そう。体力や疲労を無理矢理、回復させてベストな状態を維持したまま、戦闘を継続させる。特に、今回のような長時間に渡るような作戦だと、重宝する技となるでしょうね」
傷や怪我を回復させるわけじゃなくて、
ただ、基礎体力の低い俺にとっては非常にありがたい効果である。
「それじゃ……それを使えば、永遠に戦うことが出来る。って、ことですか?」
「それは、ムリ。あまりに連発すると、後に反動で一気に疲労が押し寄せてくるらしいの。だから、使用できるのは一日一回が限度と考えておいて?一回でも、即時万全の状態で戦える状態にまでなるわけだから、使いこなすことが出来れば強力だよ。ダメージまでは、治療できないけど」
なるほど、使い所が肝心だな。
待てよ?もしかして、この技……俺の【虚飾】にも、
【虚飾】のスキル代替には、それぞれクールタイムが存在している。それは、連発すれば身体に過負荷が掛かってしまうため、システムが自己防衛の為に設定してくれているのだと思われる。
ただ、この技を使って負荷もリセットすることが出来たら、クールタイムをゼロにして、連続のスキル代替が可能になるかもしれない。
そうなれば、【近接戦闘(格闘)】や【ヒプノーシス】なども一回のみだが、連続使用が可能となる。それだけで、使える戦術の幅が大きく広がっていく。やってみなければ分からないが、この推測が正しければ、俺のユニークスキルは更なる進化を遂げることとなるだろう。
「是非、教えて下さい!その“第六の型”!!」
「言われんでも、そのつもりだってば。ただ、今までの技とは毛色が違うから、難しいよ?周囲のエネルギーに干渉して、更にはそれを体内に取り込み、かつ全身に循環させる……“
「や、やるだけやってみて下さい!とりあえず、見てみます」
「OK。ただ、見た目的に大きな変化は起こらないから、あまり意味はないかもだけど」
そう言いながら、姐さんは深く呼吸を始めると、その周囲から緑の気泡が生み出され、彼女の体内へと集まっていく。
あれが、自然の中にあるエネルギーってヤツなのだろうか?
そして、最後に一つ深呼吸を終えると、姐さんは口を開いた。
「ハイ、終わり。ね?なんも、分からんかったでしょ」
「はは……そうっすね。でも、要領は何となく伝わりました」
「おっ。とりあえず、やってみる?多分、ムリだろうけど」
「……はい。わかりました」
自然エネルギーに、干渉……蓮見さんとのテストで、“猛虎硬爬山”を使った時の感覚。あれが、地面のエネルギーに干渉したものだとしたら、俺も成功させたことがあるということだ。やれないことは、ない。
キイイイイイイン
姐さんの見様見真似で呼吸をしながら、さっき見た光景を強くイメージして、再現を試みる。
すると、彼の周囲に赤い気泡が点々と出現し始め、それを目撃した“安東イブキ”は、無言で息を呑んでいた。
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