作戦会議・3

「なるほど。詳しい理由は分かりませんが、後ほど検証してみましょう。その結果次第とはなりますが、【ナビゲート】が信用できるものだと仮定して、植村くんは暫定的に“ウイルス回収部隊”へと配属してもらうことにします。よろしいですか?」



「あっ、はい!了解しました」



「そう考えると、メンバーも勝手知ったる仲の人間がいた方が良いかもしれませんね。テンとナギも、植村くんと同じ部隊で構いませんか?」




 副団長からの問いかけに、二人は一瞬だけ目を合わせて、すぐに無言で首を縦に振って返事とした。

 俺としても、一緒の部隊だと安心できそうだ。




「では、部隊長をアイリさんに。補佐は、ライアンさんにお願いしたいと思います。必然的に、残ったメンバーが“団長捜索部隊”となります。こちらの部隊長は、エリザさん。補佐は、私が務めます」




 異論はなく、スムーズに部隊の編成は決まったようだ。一応、整理しておくと……。



『ウイルス回収部隊』

 剣持アイリ(部隊長)

 巻島ライアン(隊長補佐)

 那須原ナギ

 忍頂寺テン

 植村ユウト(助っ人枠)



『団長捜索部隊』

 蓮見エリザ(部隊長)

 黒宮ユウカ(隊長補佐)

 安東イブキ

 雲雀ヒナノ

 朝日奈レイ(助っ人枠)



 こんなところか。蓮見さんは怖そうだったから、剣持さんが隊長で、少しホッとした。




「もし、別行動となった場合、互いの作戦の進捗状況を逐一報告することを、忘れないように。どちらかが先に任務を完了させたら、別部隊への応援に向かう段取りでいきましょう」



「りょーかい。それで、肝心な戦艦内のセキュリティーは、どんな感じになってるの?自動人形オートマタ軍団が、いるってのは聞いたけど」



「具体的に、ということですよね?偵察用ドローンで判明した限りでは、自動人形オートマタには、大きく分けて五つのタイプが存在するようです」




 剣持さんの質問に、副団長は巨大モニターを起動させると、そこに自動人形オートマタの五つのシルエットが分かりやすく図解されている画像が展開された。




「まずは兵士級ポーン光線銃レイガンを所持している一般的な人型です。一機の戦闘力は低めですが、隊列を形成しながら多数で行動してくる為に、油断は禁物です。銃の威力が、どれほどのものかは分からないので、なるべくなら盾役となれる冒険者が最前線で防いであげれると、理想的な戦術となるでしょう」




 盾役か……自動回避で躱すのは得意なんだが、後衛まで守るとなると俺には難しいかもしれない。うちの班で期待できそうなのは、剣持さんぐらいだろうか?そもそも、どんなユニーク持ちかも分からないからなぁ。




「次に、盾型タンク。向こう側の盾役です。最前線でバリアシールドを展開して、後衛の兵士級ポーンを守ってきます。その代わり、攻撃はしてこないので、スイーパーは最優先に狙って破壊して下さい。飛び道具には強いバリアですが、強力な近接武器に耐えうるほどの頑強さは、有してないと分析結果では出ています」




 そうか。そいつらがいると、飛び道具を持つ後方支援の攻撃が遮断されてしまうということだな。見つけたら、真っ先に狙っていこう。




「三番目は、大足級ビッグフット。その名の通り、巨大な二足歩行で進行してくる自動人形オートマタです。そもそも、踏まれるのが危険ですし、二本足に付いている頭部にはバルカン砲が搭載されています。一本でも脚部を破壊できれば、バランスを崩すはずですので、一点集中で片方の足を狙って下さい」




 下からは兵士級ポーンの光線、上からは大足級ビッグフットのバルカン砲か。まさに、弾幕の雨あられだな……生き残れる気が、しないのだが。





「四番目は、猟犬級ハウンド。犬型の自動人形オートマタです。俊敏性が高く、口の部分に仕込み刃があり、接近戦を仕掛けてきます。戦闘力の低い後衛が狙われないよう、スピードに自信のある冒険者が対処に当たって下さい」





 犬型の自動人形……昔、あったなぁ。そういう、ロボットの玩具。今回のは、そんな可愛らしいものじゃないけど。仕込み刃って、なんだよ。




「最後は、守護者級ガーディアン。残念ながら、詳細は得られなかったのですが、どうやら自動人形オートマタの中でも、特に強大な戦力を持った三機の特殊個体が存在するようなんです。それを、守護者級ガーディアンと総称しています」



「うわ、ヤバそう。いわゆる、ボスキャラってヤツですか?」




 いかにもゲーマーっぽい反応をする姐さん。だが、確かに分かりやすい表現だ。




「そうですね。明らかに他の四種とは違うと思うので、違和感を覚えたら、それが守護者級ガーディアンだと思って下さい。どんな攻撃手段を持ってるのか見当もつかないので、冷静に様子を見て敵の戦力を見極めるように。難しいとは思いますが」



「初見殺しの技とか持ってたら、厄介ですよね〜。まぁ、そっちの方が攻略のしがいはあるけど」



守護者級ガーディアンと名づけられてるぐらいですから、何か大事なものを守っているという憶測は立ちます。ウイルス、団長、エンジン部などがあるポイントに来たら、特に注意して下さい」




 守る者か。機械だから、手加減する必要は無さそうで良いけど、どれほどの性能を持っているのだろう……並行世界のオーバーテクノロジーが生んだ、最強クラスの自動人形オートマタ



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