LV2「暗きものたちの墓場」・3
目的の霊園に着くと、幸いなことに他に人は見当たらない。立地的なことや時間帯なども関係してるのだろうが、助かった。
仮に一般人がゲートを発見した場合、警察に届け出るか、直でギルドに情報提供するパターンの二通りが存在する。もちろん、見て見ぬふりをするパターンもあるだろうが。
警察に届け出た場合は、協会に連絡が行きホームページにそのゲート情報が掲載される。協会に所属しているギルドなら、誰でも共有できるので、そこから先は早い者勝ちとなるわけだ。大手になると、わざわざホームページを永遠に更新するだけの事務職を雇ってるところもあるとかないとか。
ギルドに直接、情報提供する場合は、そのギルドが情報料を個人的に支払うことになっている。財源が豊富なギルドほど、その対価も大きく、それだけ一般人からのゲート情報を占有できるという仕組みだ。
この『ダンジョン・サーチ』は優秀だが、気をつけなければいけないのが、意外とそういう一般人の発見者だったりする。今回は、たまたま人通りの少ない場所だったから良かったものの、繁華街などに現れたゲートなんかだと、すぐに見つけられてしまうからである。
「それで、ゲートはどのへん?」
「もっと、奥の方だと思うけど……それより、何か近くない?皆さん」
細かい位置の確認は【ナビゲート】rank100を発動させて、墓地の中を先頭で歩いていると、右にはアスカ、左には月森さん、背中には朝日奈さんが、各方向から俺のジャージの布を掴んで、寄り添うように進んでいた。
「思ったより暗くなってたし、怖いの!少しは、女心を察しろ!!ねぇ、月森さん?」
「うん。ごめんね?植村くん。私も、お化け屋敷とか苦手で……こういうところ、ダメなんだよね」
すぐ後ろでは、こういうのは大丈夫そうな朝日奈さんも意外と怖がっているようで、小さく「ヘルプミー」と呟いている。墓地をガスマスクで歩いてる方が怖い気がするけど、てか……ちゃっかり、また装着してたのか。
とはいえ、男としては一度は夢に見るような状況で、内心では舞い上がっていたのは秘密だ。ああ、ゲート様!墓地に出現してくれて、ありがとう。
「おーい。俺のジャージも、空いてるぞ〜?」
悲しき悪友の声が虚空へと消えていくと、ナビゲートが終了し、奥にあった一つの墓の真裏に出現していたゲートへと辿り着いた。
「本当に、あった……青色のゲートだから、レベル2だね。多分、探してるダンジョンで間違いないと思う」
何気に『ダンジョン・サーチ』を頼りに、ゲートを探してみたのは一回しかなかったので、俺もアスカも半ば不安な気持ちはあったが、どうやら
とはいえ、中の様子までは入ってみないと確認できないわけだが、ここまで来たら行くしかない。
「はじめて見た……本物のゲート。こんな風に、なってるんだ?なんか、緊張してきちゃった」
そんな月森さんの両肩を、アスカが軽く揉みほぐしながら、その緊張を解いてあげた。
「大丈夫!ちゃんと、私とユウトが守ってあげるから。リラックス、リラックス」
「う、うん!ありがとう、七海さん」
一時は、どうなるかと思ったが、なんだかんだ仲良くやっていけそうだな、この二人。良かった、良かった。
「誰か来たら、面倒だ。さっさと、入るぞ」
周囲を警戒しつつ、三浦が催促する。その言葉に、朝日奈さんも便乗して。
「こんなとこ、ヤダ!早く、入ろ!!」
いや、もっとダンジョンにビビりなさいよ。墓地の方が怖いんかい。
俺は、アスカとアイコンタクトを交わしてから、先頭でゲートをくぐった。久しぶりのこの感覚、さすがにこっちも緊張してきた。
次の瞬間、その空間に広がっていたのは……また、墓地だった。しかし、今度は西洋の墓地。
十字架の墓が無数に並んでいる。どこか、廃墟のようであり、ところどころ朽ちかけていたのが、余計に不気味さを引き立たせていた。周囲の明るさは、現実世界とあまり変わっておらず、薄らと暗がりになっているぐらいだ。
「オーマイガッ!なんで、また墓地なの!?」
本場の発音のオーマイガーは、一味違う。
朝日奈さんの叫びと共に、宙にメッセージが浮かんだ。
LV:2 青色のダンジョン
ミッション
45分以内に、秘宝の番人を撃破せよ
「予想通り、バトルミッションか。それで、肝心の
アスカを筆頭に、みんなが目を凝らして周囲の様子を伺うと、遠くに紫色の布らしきものが浮いてるのを発見した。
よく見ると、その布からは青白い手が生えていて、何かベルのようなものを持っていた。
アイツが、秘宝の番人……なのか!?
その予想は的中してたようで、すぐにそのクリーチャーの情報が表示された。
ビフロンス
チリーン、チリーン
それと同時に、クリーチャーの持っていたベルが鳴らされると、地中から大量の
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