もうひとつの実力テスト
ブンッ
青色のメタリックボディーが眩しいパワードスーツを全身に装着した“
「行ったぞ!あとは、任せる!!」
その言葉を受けて、落ちてくる
見事に犬首の部分に掴まると、そのまま両腕をパンプアップさせて、その驚異的な
それが、“牛久ダイゴ”のユニークスキル【
バシュン!!
その隙に、地上から放たれた一つの弾丸が反対側の鳥首の眉間に命中し、その活動を停止させた。
その
あっという間に、二つの首を無力化させた
「三つの首にある脳を全て活動停止させれば、全ての機能を失うはずだ。アスカ、あとは頼んだよ」
「シルエット・シックス……“
鳴海の声を聞き、自らのユニークスキル【七変化】を発動させた“七海アスカ”は、優雅に舞を踊るように、その場で全身を回転させると、大気中の風が彼女のもとへ引き寄せられていく。
「ぬうううううん!!」
首筋の血管を浮き上がらせて、犬首を絞め落としてみせた牛久が、最後の大トリをエースである彼女に託した。
「お嬢!あとは、頼んだぜ!!」
ゴウッ!!
集めた風に方向性を持たせて、残った老人首へと放出した七海は、最後の大技を繰り出す。
「
八卦風神掌とは、七海アスカが
ズドドドドドドドッ!!!
彼女の回転に呼応するようにして、老人首に向かっていった風が、まるで竜巻を作り出すように、その首を切り裂きながら天に向かって渦巻いていく。
それは、自身の“
まるでミキサーにでもかけられたかのように、最後の首が
消えていく風を見送りながら、パワードスーツの男が頭部を覆っていた鉄仮面を取りながら、ゆっくりと地上へと降りてくる。
露わになった顔は、物騒な装備とは裏腹に端正な顔立ちをした金髪の美青年であった。
「やったね、お嬢。しかし、公爵級まで引っ張り出してくるとはね。僕らだったから、何とか倒せたけど……他の人たちには、無理ゲーでしょ。これ」
「去年も、同じ内容のテストだったらしいけど、倒せたのはカケルの班だけだったようだよ。私たちは、晴れて二番目の攻略班となれたわけだ」
一角ツバサにそう言った鳴海ソーマは、一学年上の天馬カケルとは親友に当たる間柄だった。
ここにいるメンバーは、七海アスカ以外は全て『龍宝財団・エクスプローラー』に所属している新進気鋭の冒険者たちであった。経験者揃いのハイクラスの中でも、指折りの実力者たちが集まっていた。
その会話に、この小隊の紅一点・七海アスカが呼吸を整えながら、加わってくる。
「二番目じゃなくて、三番目。残念ながら、昨日も出たみたいだよ。撃破した
その情報に、人一倍のリアクションを見せた牛久ダイゴは、素っ頓狂な声をあげる。
「昨日って、ローとミドルの実力テスト日だったよな?その中から、公爵級を倒した班が現れたってことか!?」
「うん。先生に確認したから、間違いない」
「一体、どんな奴らが?リーダーは……いや!フィニッシャーは、どんな奴なんだ!?」
「そこまでは、聞いてなーい。でも、予想はつくけどね」
何故だか嬉しそうに言う彼女に、普段は無口の烏丸クロウも気になったのか、珍しく口を開いた。
「予想はつく?七海の知り合いでも、いるのか」
「おっ、気になるかね?クロちゃん」
「クロちゃんは、やめろ。で、誰なんだ?」
「……植村ユウト。ローAの冒険者見習いくん」
不敵な笑みを浮かべてアスカが答えると、その瞬間に『試験迷宮クノッソス』が消えていく。
かくして、七海アスカ率いる
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