LV2「試験迷宮クノッソス」・2
すると、三浦も持っていた鍵を見て、何かに気付いたようだ。
「鍵の方にも、小さく書いてあるぞ。こっちの文字は“
それを聞いて、リーダーが思案を巡らせた。
「違う文字か。この文字が対応している扉と鍵が正しい組み合わせで開く……って、ことなのかな?」
一人、
「各入口の前に、同じように一本道があって“次の扉”が用意されてるみたい。どうする!?全部の扉に試していく?リーダー」
「それが、確実な手段ではあるけど……運が悪かったら、相当なタイムロスになっちゃうね。かといって、謎解きの問題文みたいなのも見当たらないし」
確かに、最後まで開かなかった場合、ぐるっと迷宮を一回りすることになってしまう。この実力テストは、タイムトライアルとしての側面もある以上、なるべくなら無駄な時間は削っていきたいところだ。
ますます悩む俺たちへ、三浦が突破口を示してくれた。
「いいや。この文字自体が、簡単な謎解きだろう。この漢字が表しているのは、“十二支”だ」
「十二支……そうか!これは“
感心する月森さんに、更に“頭脳が武器”と語った悪友が続ける。
「なぜ、十二支か?つまり、これは方角を表している。我々の今いる位置は“北”、つまり『
「んん。十二支って、方角のことだっけ!?
帰国子女の朝日奈さんがキョトンとしているのを見て、神坂さんがネットから拾ってきた十二支の方角表の画像を、彼女に見せてあげた。
「おお〜!ホントだ、“子”って書いてあるぅ!!」
「つまり、この“寅”と書かれた鍵が対応している扉のあるのは……朝日奈、どこだと思う?」
「わかった!“寅”の方角!!」
「正解だ。東北東、ここから少し時計回りに下って、一番最初にある扉が“寅”の扉だ。おそらくな」
得意げに語った三浦に、純粋な拍手を送る朝日奈さん。意外と良いコンビなのかもしれない。
同じく純粋なマコトも、感心していたようで。
「凄いよ、三浦くん!アンサーの素質があるかも。謎解きとか、得意なの?」
「
なるほど、前世で好きだったんだな。なんやかんや言って、一周分の人生経験があると思わぬところで思わぬ知識が役にたつものだ。俺の料理しかり、三浦の謎解きしかり。
「じゃあ、行ってみようよ。早く、その“寅”の扉にさ」
神坂さんの
「えっと、ちょっと待ってね……迷路になってるから、ルート取りが複雑で。まずは、この道を左に曲がってぇ〜」
目的の扉地点から、自分たちのいる場所までを指でなぞりながら念入りにルートを確認している朝日奈さん。上空から丸見えとはいえ、複雑に入り組んでいる通路だったので、位置把握は困難を極めそうだ。
「大丈夫だよ、朝日奈さん。そこまでは、俺が案内してくから」
「えっ!?どうやって?」
【虚飾】が、【ナビゲート】rank100に代わりました
「こっちだ。みんな、ついてきて!」
頭の中で、目指すべき扉を強くイメージすると、いつものごとくナビが開始されて、目の前に立体的な矢印が現れ、方向を導いてくれる。
「ちょちょちょ!だから、どうやって案内するの!?ユウトってば!!」
「【ナビゲート】のスキルだ。アイツのは、特に優秀でな。人や物など、ある程度の知識があれば、案内してくれるらしい」
「えっ!?【ナビゲート】って、そんなスキルだったっけ?確か、地理の知識とか……そんなんだったような気がするけど」
「さあな。俺も、よく知らんが……アイツのユニークが、特殊な効果をもたらせてるらしいぞ」
後ろで、朝日奈さんに俺の【ナビゲート】の説明をしてくれている三浦。【虚飾】スキルについては、
学園では、思ったよりオープンにユニークスキルを公開している人たちもいるので、そろそろ俺も誰かに打ち明けておくべきなのだろうか?
そんなことを考えながら、迷路になっている道を矢印に従って、迷うことなく進んで行く。
すると、また朝日奈さんの大きな声が響いた。
「あー!宝箱、発見!!」
その声に振り向くと、どうやら朝日奈さんが行き止まりの道先に宝箱を見つけたようだ。迷路に宝箱、さすが試験迷宮。こんなダンジョンダンジョンしたダンジョンは初めてだ。
「スルーしておこう?秘宝は無いって、先生も言ってたし。中には、何も入ってないよ。多分」
「そんな〜!でも、ボス戦に役立つ武器とか入ってたら、どうするの!?リーダー!!」
「確かに、ゲームとかではあるけどね。そういうの……でも、罠だと思うんだよなぁ。どうしよ」
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