決起集会・2
「でも、まあ。そんな凄い人と同じ剣術を習ってるんだったら、多少は期待しちゃってもいいんだよね?実力テスト」
「いや〜、どうかなぁ?なんせ、あと一週間も無いからね。やるだけのことは、やってるけど……」
神坂さんの問いかけに、笑って誤魔化していると、九戦姫の一人らしいメイドさんが俺の肩を組んできて、話に割り込む。
「大丈夫!この二人、順調に強くなってるよ。元から、良いモノを持ってるってのもあるけど。この私が、保証する」
強気な姉弟子の宣言に、「おぉ〜」と皆の声が上がる。あまり、ハードルを上げて欲しくないのだが。
そんな、後輩たちの反応を満足そうに聞きながら、姐さんが話を続ける。
「それにしても、実力テストか。懐かしいなぁ……私たちも、やったっけ?ねぇ、てんちょー」
「ん、そうだね。私たちはハイクラスの難易度で、結構な厳しさだったけど……ロークラスも、同じ感じなのかなぁ?」
二人とも、ハイクラスだったのか。割烹着で唐揚げを作ってる姿や、メイド服で接客してる姿からは、想像がつかないだろう。
そこで、いきなり綺麗な挙手をして朝日奈さんが質問をぶつけた。
「はいっ!先輩から、何かアドバイスありますかー?」
「アドバイスって、実力テストの?そうだねぇ……あれは、どっちかっていうとダンジョン対策より、ライバルグループを警戒する方が大事だったりするんだよね〜」
意外と真面目にアドバイスをくれる姐さん。
確かに、それぞれに
その助言を聞いて、三浦が掛けていた眼鏡をクイッと指で上げて、目を光らせた。
「クックック。やはり、俺たちの考えは間違いではなかったようだな。朝日奈」
「ふっふっふ。そうだな、三浦」
なになに?いつの間に、そんなに仲良くなったんだ!?キミたち。性格は、正反対っぽいけど。
そんな二人を、さすがの月森さんも気になったようで。
「ど、どうかしたの?二人とも」
「ふむ。実は、俺たちでライバル
「すごい!でも……どうやって?」
月森さんの疑問に、朝日奈さんはニッコニコの笑顔で、鋼の球体をテーブルの下から取り出した。
「じゃーん!コレで〜す!!」
「あ!それ、レイちゃんのドローン……だっけ?」
「ピンポーン!これを
ドローンなんて持ってるんかい!しかも、監視させるなよ……同じチームで良かった、やましいことはしてないけど。
満足そうな二人の偵察員を前に、月森さんも必死にフォローしながら返す。
「ま、まぁ倫理的にはどうかとも思うけど……あくまで、偵察の一環だもんね?そういう心理戦も含めて、授業だと考えれば。うん」
「なんか、自分に言い聞かしてない?」
「そ、そんなことないよ!それで……何か、分かったことあった?」
友人の神坂さんに動揺を見抜かれ、慌てて二人に話を戻すのが何とも月森さんらしい。
「まずは、山田ジュウゾウが集めた
「山田くんっぽいなぁ……とはいえ、剣術の授業では、ぶっちぎりのトップ成績だったし。ワンマンとはいえ、油断はならないよな」
山田くんのユニークも、気になるところだ。あのパワーが純粋な身体能力だとして、他にスキルを隠し持ってるなら更に危険な存在となるだろう。
「ワンマンチームは、もうひとつ。綾小路レイカが率いる女生徒小隊だ」
三浦からの情報に、姐さんから出来立ての唐揚げを受け取りながら、神坂さんが尋ねる。
「綾小路さんも、圧力で仲間を集めたの!?」
「本人は意識してないだろうが、“無意識の圧”というヤツだな。協会会長の孫娘から誘われて、断れる勇気のあるヤツはいないだろ」
「あ〜、なるほど。そういうことね」
「山田小隊に比べればマシかもしれんが、綾小路はナチュラルに
山田くんより理性と技術がある分、綾小路さんの方が厄介そうなんだよな。意外と、ああいうタイプの方が会社のトップとしては向いてそうだし。
書き記したメモが載っていると思われるレトロな紙のミニノートをめくりながら、三浦が続ける。ビデオカメラといい、古き良きものが好きなのだろうか?まあ、転生者だもんな。
「三番目に、今日のホームルームで学級委員長に任命された“
委員長の明智さん……あの眼鏡をかけた、長い黒髪の女の子か。優しそうで、いかにも“委員長”って感じの子だった。あの子がリーダーなら、慕われそうだ。
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