第5章 試験迷宮クノッソス
クラウ・ソラス
小鳥が囀る早朝、俺はルームメイトを起こさぬよう、静かに部屋を抜け出すと、
昨日は、なかなかにハードな一日だったが、こうして早くに目覚められたのは、前世での生活習慣が役立っているのかもしれない。
周りが海で囲まれてるせいか時折、潮風が吹いて気候的にも気持ちが良い。
かれこれ、朝稽古を始めて一時間は経とうかという頃、ようやく
ブンッ
ようやく出せた刃は、ほぼ無色といっていいほど透明だった。よーく目を凝らして、刃だと分かるレベル。相手からすれば、見えない刃が襲いかかってくるわけだから、そういう意味では良いかもしれない。
色々と試してみて分かったことは、“慈悲”の心を込めるほど刃の色は透明に、“殺意”の心を込めるほど刃は黒く変色することが分かった。色によって、判別が出来るのは有り難い仕様だ。
しかし、俺の“殺意”は低いのか、どう頑張っても薄い黒色にしかならなかった。どうやら、色が濃くなればなるほど斬れ味は増していくようなので、この剣の
とはいえ、よほど憎しみのある相手じゃないと、これ以上の“殺意”を生むことは不可能だろう。人間としては、そっちの方が健全そうだし、とりあえずはこのままで良しとする。
次に、技だ。
技を撃つために、“
試しに、
そして、さっき発見した、この武器の凄いところがコレだ。
【虚飾】が、【投擲】rank100に代わりました
ブンッ
俺は、
そう、自らの手を離れても気で作られた刃は残るのだ。この通り、投擲武器としても使用することができる。これだけではない。
木に刺さった
こうして、手放してしまっても、刃が残ってる状態ならば、“気の糸”が繋がったままなので、これを利用して引き戻すことが可能となるのだ。
【投擲】スキルとも相性は良いし、練度を高めれば、近距離から中距離までカバーできそうだ。
「ユウト〜!」
俺が、
「おっ!おはよう、マコト」
「起きたら、いなくて……慌てて、着替えてきたよ〜。はぁ、はぁ……」
「いや!約束の時間は、今だから。そんなに、慌てなくても良かったのに」
一応、今朝はマコトに基礎の剣術を教えてもらうという約束をしていた。そのついでに、
「朝、強いんだね……ユウト。昨日は、遅くまで研修だったのに。眠くないの?」
「正直、眠い!授業中、俺がヤバそうだったら、先生から見えないように
「ヤバそうかどうか、前の席じゃ分からないよぉ。そんなことより……はい、ユウトの分の木刀!持ってきたよ」
「おっ、サンキュー。それじゃ、よろしくお願いしやす!マコト先生!!」
さすがに、秘宝同士を打ちつけ合うのもどうかということで、師匠から借り受けた木刀を互いに持ち、ここからはマコト先生の個人レッスンとなる。
「もう。先生は、やめてってば!とにかく、まずは昨日のシミュレーターを使って、もう一度、ユウトの剣術を見せてみて?それで、僕からアドバイスがあったら、していくから」
「なるほど、了解。んじゃ、アプリを起動させまっす!」
姐さんから教えてもらって、
ちなみに、少し夜更かしして剣術家の動画を一通り目は通しておいた。昨日よりは、少しはマシな動きになってるだろうと期待する。
そして、俺は意を決して「START」を押す。
【虚飾】が、【近接戦闘(刀剣)】rank80に代わりました
一斉に襲いかかってくる擬似クリーチャーたち。
回避するのは、昨日と同じ……あとは、なるべく姿勢を崩さず、素早く的確に!
いまだ記憶に新しいネットの中の達人たちの動きを思い出しつつ、その場にあった最適な動きを
その動きを見て、マコトは素直に驚いていた。
たった一夜が明けただけで、こうも別人のように動きが変わるのは、どういう仕掛けなのだ……と。
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