サイズ・ビル 団長室
中に入ると、そこは学校の教室が
そして、デスクに座る貫禄ある中年男性が、勝手に入ってきた俺たちに対して、特に驚くこともなく迎え入れてきた。
「随分と、派手に暴れ回ってくれてたようだな。俺の庭で」
「そちらが先に仕掛けてきたので、迎え撃ったまでです。少々、派手にはやってしまったかもしれませんけど」
「ガハハッ!ご
椅子の肘掛けに肘を乗せ
「ずっと、ダンジョンの中に幽閉されてたんです。だから、連絡を取ろうにも、取る手段が無かった」
「ふむ、おかしいな。俺が、レベル6に部下を偵察へ行かせた際には、クリアできなくても元の世界へ戻ってこれてたんだが?」
「それは、おそらく最深部に到達する前に、脱落したからでしょう。私は、最後の番人たる王級クリーチャーとの戦いで敗北して、
「クリーチャーが、倒した人間を捕獲したってのか?それが、本当なら興味深い話だがなぁ……」
団長はデスクの引き出しから、極太の葉巻を取り出すと、慣れた手つきで吸い口をカットしつつ、専用のライターで火を着けていく。
「本当です。王級のクリーチャーは、人の言葉も操る知的生命体でした。とはいえ、他の例は知らないので、あの個体が特別なだけだったのかもしれませんが」
「じゃあ……なぜ、お前は今、ここにいる?本当はクリアして、
「そんなことは、しません」
「ならば、なぜ、こっちに戻ってすぐに、俺のところへ来なかった?母親の治療費が、欲しいんじゃなかったのか?おかしいだろう」
「もちろん、母の治療も大事ですが……それ以上に、あの
ブハァと
「ようやく、ぼろを出したな。やはり、持ってたんじゃねえか、レベル6の大秘宝。しかも、渡したくないほどの性能ってわけだ」
「そんなに、欲しいのなら……勝負を、しませんか?レベル6の
「“
「いえ……こちらの代表は、ここにいる彼です。彼が、
さすがに、それは驚いたのか、葉巻を吸うのを中断して、彼の
「お前が、報告にあった謎の男か。どこの馬の骨かは知らねぇが、さすがに部外者とは闘えんな」
団長の異様なオーラに
「部外者なんかじゃありません。あなたの欲しがってるレベル6の
「なん……だと?」
まだ疑わしいといった表情を浮かべる団長に対して、七海さんも後押しをしてくれる。
「彼の言ってることは、本当です。実際に、レベル6を攻略したのは“彼”なんです。私は、その時に救助されただけ」
「仮に、それが本当の話だとする。だとすれば、闘う理由が分からん。この勝負にあるのは、秘宝を失うというリスクだけ。お前には、何のメリットもないだろ?」
確かに、その通りだ。正直、損得勘定で考えれば、俺にこの勝負を受けるメリットなどはない。
しいて言うなら、七海さんたちがハッピーエンドを迎えられることぐらい。だが、それで俺の闘う理由としては十分だったのだ。
「みんなの
「ハッ!
「まぁ、そんなとこです。女の子の前で、カッコつけたい……そんなもんでしょ、男なんて」
「ちょ……!?」っという動揺した声が、後ろから聞こえたが、恥ずかしいので振り向けなかった。
売り言葉に買い言葉で、つい変なことを口走ってしまったかもしれない。
「ガハハハッ!嫌いじゃねえぜ、お前みたいな素直な奴ぁ。だがな、“
“
「……いや、気が変わったぞ。やってやろう、その“
俺は、心の中でガッツポーズを決めた。
きっと、『
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